第58巻第13号 2011年11月 一般事業所における障害者の雇用実態-三原市の調査から-三原 博光(ミハラ ヒロミツ) 松本 耕二(マツモト コウジ) |
目的 障害者雇用促進法や障害者自立支援法などにより,現在,障害者の就労が重視されてきている。そこで,一般事業所の障害者の雇用実態を調べることを本研究の目的として質問紙調査を実施した。
方法 三原市内の50人以上の従業員の一般事業所に対して,障害者の雇用状況に関する質問紙用紙を郵送した。
結果 三原市内の110事業所に質問紙用紙を郵送し,59事業所から回答を得た。その結果,30事業所が現在,障害者を雇用していた。雇用されている障害者の半数は身体障害者であり,障害の程度は軽度であった。雇用形態は,半数は「常用雇用」であった。雇用の方法は,6割強が障害者雇用促進法によるものではなく,一般事業所の業務の必要性から雇用されていた。雇用されている障害者やその保護者は雇用されている事に満足をしていた。そして,現在,障害者を雇用している一般事業所の4割は希望があれば,さらに障害者を雇用しても良いと回答していた。一方,20事業所は,現在,障害者を雇用していないと回答し,その理由として「障害者に適した職業がない」「障害者を雇用する環境が整備されていない」をあげていた。そして,将来の障害者の雇用の可能性については,半数の事業所は「困難である」と回答していた。
結論 障害者を雇用している事業所では,障害者やその保護者は雇用されていることに満足し,事業所も障害者の雇用について積極的に考えていた。一方,障害者を雇用していない事業所は,将来においても,障害者の雇用には消極的であった。今後,障害者の雇用に消極的な事業所に対して,行政や福祉関係者などから,障害者の雇用に関して,積極的な働きかけの必要性が課題として示された。
キーワード 一般事業所,障害者,雇用,就労