メニュー

一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ
  • img01
  • 医療職のための統計セミナー
  • 図説国民衛生の動向2024/2025
  • 国民衛生の動向2024/2025
  • 国民の福祉と介護の動向2024/2025
  • 生物統計学の道標 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24講

第57巻第10号 2010年9月

世帯分類別の異状死基本統計

-東京都区部における孤独死の実態調査-
金涌 佳雅(カナワク ヨシマサ) 森 晋二郎(モリ シンジロウ) 阿部 伸幸(アベ ノブユキ)
谷藤 隆信(タニフジ タカノブ) 重田 聡男(シゲタ アキオ) 福永 龍繁(フクナガ タツシゲ)
舟山 眞人(フナヤマ マサト) 金武 潤(カネタケ ジュン) 鈴木 恵子(スズキ ケイコ)

目的 福祉保健上の問題である孤独死について,行政上対策に資することのできる基本統計を提供することを目的に,東京都区部における単身および複数世帯別の異状死の調査を行った。
方法 昭和62年から平成18年までに東京都監察医務院で取り扱った自宅死亡の異状死のうち,特別区居住者を単身世帯,複数世帯に区分した。調査項目としては,世帯・性別死亡数,世帯・性・年齢階級別死亡数と死亡率,年齢調整死亡率,世帯・性別平均死後経過時間,世帯・性・死後経過時間別死亡数構成比とした。
結果 調査対象例は77,938例であった。世帯・性別死亡数は,各群で死亡数は年々増加していたが,男性単身群は平成9~11年にかけて急激な増加があった。世帯・性・年齢階級別死亡数は,男性単身の4069歳群で死亡数が突出する傾向が,経年的に顕著であった。世帯・性・年齢階級別死亡率は,いずれの群でも年齢と共に死亡率の上昇が認められたが,特に男性単身群では40歳以降に死亡率の上昇が特徴的であった。年齢調整死亡率は,男性単身群,女性単身群,男性複数群,女性複数群の順で,これに経年変動はなかった。平均死後経過時間は,複数群は各年で変動はなく,単身世帯者は経年増加する傾向があった。世帯・性・死後経過時間別の死亡数構成比は,死後経過時間の進行と共に急激に減少しており,3日以内の死後経過は,単身群で5~7割,複数群で9割以上であった。
結論 本調査において,死亡数・死亡率ともに40歳代以降の男性で深刻な状況であることが示された。孤独死対策では,男性の高齢者のみならず40歳代以降の中年層に対する対策が必要であると示唆される。年齢調整死亡率で著明な経年変動はなかったが,高齢化社会の進行から,孤独死の数は今後増加することは確実であろう。そのために,行政上の対策が求められるが,本調査研究からは,孤独死の予防可能性の行政上の対策に資する基本統計の提供が可能と考えられる。
キーワード 孤独死,孤立死,監察医,行政解剖,死体検案

 

論文