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第56巻第8号 2009年8月

保健・衛生行政業務報告に基づく特定疾患医療受給者数および
登録者数変化の観察

石島 英樹(イシジマ ヒデキ) 永井 正規(ナガイ マサキ)

目的 特定疾患の2001~2005年度の受給者数,2003~2005年度の登録者数,受給者から登録者への変更数,登録者から受給者への変更数を観察し,登録者証交付制度(以下,登録者制度)が受給者数の変化に及ぼした影響を考察する。
方法 2001~2003年度地域保健・老人保健事業報告と2004,2005年度保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例)を用いて,各年度末現在の受給者数,登録者数,受給者から登録者への年間変更数,登録者から受給者への年間変更数を,疾患別に集計した。
結果 登録者制度対象19疾患,同制度対象外26疾患の両者において,受給者数は2001~2005年度にかけて増加傾向であったが,両者ともに2003年度に受給者数の減少もしくは増加傾向の停滞がみられた。登録者制度対象19疾患では,同制度対象外26疾患より2003年度の受給者数減少の程度が大きかったが,その後は登録者制度導入前と同程度の増加傾向を示した。登録者制度が受給者数に与える影響の大きさは,疾患によって異なっていた。登録者制度対象19疾患のうち,2003年度の受給者数減少が大きいのは,再生不良性貧血,サルコイドーシス,特発性血小板減少性紫斑病であり,登録者の対受給者数比も大きかった。再生不良性貧血では10~20歳代で,サルコイドーシスでは10~30歳代で,特発性血小板減少性紫斑病では20歳未満で,受給者の減少が大きく,これらの年齢層で登録者の対受給者数比が大きかった。
結論 2003年度に受給者数増加傾向が鈍化した。この原因の1つは2003年9月に全受給者に更新手続きを求めたことであり,もう1つは登録者制度が導入されたことである。2003年度の登録者制度の導入は同制度対象疾患の受給者数減少に寄与した。登録者制度の影響の大きさは,疾患によって異なり,再生不良性貧血,サルコイドーシス,特発性血小板減少性紫斑病など,軽症者が多い,あるいは治癒・寛解しやすいといった特徴のある疾患で大きかった。登録者制度が受給者数増加を抑制する効果は一時的なものであると考えられた。
キーワード 特定疾患医療受給者,登録者,保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例)

 

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