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第55巻第1号 2008年1月

神経内科的疾患患者の在宅介護者に対する
「個別化された重みつきQOL尺度」SEIQoL-DWの測定

宮下 光令(ミヤシタ ミツノリ) 秋山 美紀(アキヤマ ミキ) 落合 亮太(オチアイ リョウタ)
萩原 章子(ハギワラ アキコ) 中島 孝(ナカジマ タカシ)
福原 俊一(フクハラ シュンイチ) 大生 定義(オオブ サダヨシ)  

目的 神経内科的疾患(パーキンソン病,脳梗塞,筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅介護者に対して,個別化された重みつきQOL尺度であるSEIQoL-DW(Schedule for the Evaluation of Individual QoL-Direct Weighting)を実施し,介護者のQOL評価に関するSEIQoL-DWの実施可能性とその性質を検討する。
方法 調査期間は2001年8月から2003年3月であった。調査対象はパーキンソン病3人,脳梗塞8人,筋萎縮性側索硬化症6人の合計17人であった。半構造化面接法により,SEIQoL-DWに関する質問を行った。倫理的配慮として,書面による説明と同意を行った。
結果 患者は男10人,女7人,平均年齢68±15歳であった。介護者は男4人,女13人,平均年齢62±14歳であった。SEIQoL-DWに関しては,17人の対象から合計79のキュー(大切な事柄)が挙げられた。キューの集計では,最も多かったものが「自分の健康」であり,順に「家族」「趣味」「経済」「将来」であった。SEIQoL-DWインデックスは平均59±24,最大値94,最小値17であり,ばらつきが大きかった。ADL(Barthel Index)が低いほどSEIQoL-DWインデックスが高い傾向にあった(r=-0.59,P=0.06)。他の背景要因との有意な関連はなかった。
考察 介護者に対するSEIQoL-DWを測定した研究はわが国で初めてである。神経内科疾患の介護者は,自分の健康に留意しながら,患者を含む家族を大切にしながら介護を行っていることが明らかになった。SEIQoL-DWインデックスは広く分布し,介護者のQOLを広い範囲で捉えることができる可能性がある。また,介護負担感尺度ZBIとは関連がなく,SEIQOL-DWは介護負担感とは別の視点からの介護者のQOLを測定できる可能性があることが示された。
結論 神経内科的疾患を在宅で介護する介護者17人に対し,SEIQoL-DW評価を行い,実施可能性と性質を確認した。今後は症例をさらに蓄積し,介護者のQOL測定に対する,SEIQoL-DWの有用性を検証することが課題である。
キーワード QOL,SEIQoL-DW,介護,評価,筋萎縮性側索硬化症,パーキンソン病,脳梗塞

 

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