第50巻第7号 2003年7月 人口動態調査にみる茨城県古河保健所管内の自殺の時間的分布緒方 剛(オガタ ツヨシ) 設楽 恵利(シタラ エリ) 中村 好一(ナカムラ ヨシカズ) |
目的 自殺予防のために効果的な介入時期を予測するために,自殺の時間的分布を明らかにする。
方法 茨城県古河保健所管内における1997年から2001年の5年間の自殺を原因とする人口動態調査死亡小票を対象として,自殺実行時刻の時間変動について分析した。
結果 自殺者は男173人,女75人,計248人であった。自殺の季節変動については,5月~6月と9月にピークがみられた。自殺の週内変動については,月曜から木曜に多く,土曜,日曜に少ない傾向がみられた。自殺の実行時刻の日内変動については,時刻が不明の者を除く227人について1円を12分割して集計した結果,朝(午前5時~午前9時)と午後から夕方(午後3時一午後5時)にピークのある2峰性の分布がみられ,変動は統計学的に有意であった。
結論 自殺の季節変軌 週内変動については,従来の報告と同様の傾向であった。日内変変動こついては,地域の全自殺死亡についてデータはわが国ではわれわれの知る限りこれまで報告されていないが,本調査では2峰性のピークが認められた。
キーワード 自殺,人口動態統計,時間的分布,日内変動,週内変動,季節変動