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第48巻第15号 2001年12月

東京都の離島における中高生の飲酒行動に関する調査

小林 冬子(コバヤシ フユコ) 大井田 隆(オオイダ タカシ)

目的 東京都の離島、A島において,平成10年度に子どもの飲酒に関する実態調査が養護教諭らによってて行われた。その調査では,A島は飲酒に寛容であり,その飲酒環境による弊害が子ども たちにも影響を及ぽしている可能性があると推測している。しかし,その実態調査の結果は, A島特有のものであるのかは不明である。そこで今回,A島の状況を客観的に判断するために, 全国調査と1同様のアンケート調査を実施し,更に,中学校と高等学校の養護教諭へのインタビ ュー調査とあわせて,A島における未成年者の飲酒行動や保健室から見た現状を客観的に検討し,A島におけるアルコール依存症の一次予防に役立てることを目的とした。
方法 1. 養護教諭へのインタビュー調査 今回「未成年の飲酒行動に関するアンケート調査」 に協力 してもらった中学校全4校と,高等学校全1校の養護教諭5人に行った。調査期間は平成13年1月11日から平成13年1月12日であった。
2. 未成年の飲酒行動に関するアンケート調査 東京都A島にある全ての中学校及び高等学校の生徒を対象とした。調査期間は,平成12年11月1日~平成12年11月30日であった。
結果 アンケート調査の結果から,①A島の中高生の飲酒率は,全国調査と比較して大きな差はな かった,②飲酒頻度と飲酒量との関連において,飲酒頻度が高く飲酒量も多い,リスクの高い飲酒をしているものが24.5%であった,③飲酒を親に見つかっても叱られたことのないものが 81.4%であった,④初めて飲酒した年齢について,「8歳以下」と回答したものの割合が,全国調査より高かった,ということがわかった。また,インタビュー調査の結果から,①飲酒問題を指導する上で,親の意識を問題視しており,その背景には,A島の飲酒に寛容な環境がある と考えている,②飲酒教育を行うには,養護教諭自身の意識の持ち方が影響する,③飲酒問題に関して,関係機関のネットワークの必要性を感じている,ということがわかった。
結論 A島が特にアルコールに対して寛容な環境であると断言はできないが,親は子ども達の飲酒に対して寛容であると推1則される。今後,親自身が子どもの飲酒に対してどのように考えているか意識調査が必要といえる。また,リスクの高い飲酒をしている中高生に対し,具体的にどのような指導や支援を行っていくのか,更なる調査及び検討が必要である。そして,地域全体でアルコール関連問題に対応していくための,ネットワークづくりが重要な課題といえる。
キーワード 飲酒問題,未成年,離島,ー次予防

 

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