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第49巻第5号 2002年5月

沖縄県の慢性閉塞性肺疾患
(慢性気管支炎・肺気腫・喘息)死亡

-標準化死亡比による全国との比較-
新城 正紀(シンジョウ マサキ) 田中 英夫(タナカ ヒデオ) 喜屋武 幸男(キャン ユキオ)
赤嶺 伊都子(アカミネ イツコ) 新垣 満広(アラカキ ミツヒロ)

目的 1998年に著者らは沖縄県(沖縄)と大阪府とで,死亡の季節変動についで,年齢調整を行った死亡率による比較検討を行い,沖縄が全病死,虚血性心疾患、脳血管疾患は低く,慢性閉塞性肺疾患は高いことを明らかにした。本研究では,沖縄における慢性気管支炎(lCD-9:490-49L ICD-10: J4I-J42),肺気腫(ICD-9 :492, ICU-10: J41~J42),喘息(ICD-493, ICD-10:J45~J46)による死亡が全国と比べて高いめか否かを明らかにするために,標準化死亡比(SMR)による検討を行った。
対象と方法 全国と沖縄の慢性気管支炎,肺気腫,喘息に関する7年間(1992- 1998年)め入口動態死亡情報および1995年の国勢調査人口を用いて,沖縄全体,市部と郡部,本島と離島に関し, 性別に全国を標準(100とする)としたSMRを算出した。
結果 年齢階級別にみると沖縄の慢性気管支炎と肺気腫の死亡数は,40歳以降の中高年に多く,喘息は0歳以降から発生があった。いずれの疾患による死亡数も年齢が高くなるに従って多くなる傾向があった。性別にみると慢性気管支炎と喘息は女に多く(163人対234人,252人対337人),肺気腫は男に多かった(273人対106人)。沖縄の慢性気管支炎および喘息による死亡リスクは男女とも全国に比べ有意に高かった(男120,女197および男129,女185)。肺気腫の死亡リスクは女で有意に高く,男では全国とほぱ同じレベルであった(男101,女166)。総数でみると慢性気管支炎と喘息の死亡リスクはいずれも市 部,郡部,本島で有意に高かった。肺気腫は市部と本島において死亡リスクが有意に高くなっ た。3疾患とも女の死亡リスクが特に高くなる傾向がみられた。
結論 沖縄で慢性気管支炎および噛息による死亡者数は男より女の方が多いという特異なパタ 一ンを示した。沖縄の女のこれら3疾患はよる死亡リスクは全国の1.7~2.0倍に上ってており, その原因究明めため喫煙状況などの生活習慣とともに大気汚染や農作業等による環境因子につ いても今後調査していく必要がある。
キーワード 慢性気管支炎,肺気腫,噛息,SMR,リスク要因,沖縄

 

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