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第60巻第3号 2013年3月

中学生における喫煙と大麻など違法薬物に関する意識調査

舘 英津子(タチ エツコ) 磯村 毅(イソムラ タケシ) 渡辺 愛(ワタナベ アイ)
加藤 裕子(カトウ ユウコ)

目的 大麻はタバコと同様に煙の吸引により使用するため,喫煙の常習化からの進展が想定できる。今回,中学生を対象として喫煙と大麻など違法薬物に関する意識調査を行ったので報告する。

方法 愛知県内の2つ,および鹿児島県内の1つの公立中学の1~3年生の生徒 1,144名に,喫煙行動および大麻など違法薬物に関する無記名の自記式意識調査を実施した。1,024人より回答が得られ,そのうち意識調査部分のすべてが無回答,および調査の承諾を得られなかった8名を除く1,016名を有効回答として解析した。

結果 大麻などを手に入れるのは「簡単だと思う」または「何とか手に入ると思う」と回答した人(大麻などの入手可能群)は,1年,2年,3年の順に,76.0%,72.4%,76.8%であった。常習的喫煙の経験者(現喫煙者+前喫煙者)は順に,3.4%,1.9%,3.2%であった。常習的喫煙経験者とその経験のない人(非喫煙者+試し喫煙者)を比較すると,周囲に大麻などを所持または使用した人がいると回答した人は前者では24.1%で,後者の3.7%と比較して高かった(p<0.01)。大麻などをすすめられたことがあると回答した人は前者では13.3%で,後者の0.3%と比較して高かった(p<0.01)。大麻などを手に入れるのは「不可能」と回答した人のうち,大麻には中毒になる危険はない,もしくは大麻には犯罪に巻き込まれる危険がないと答えた人は,それぞれ12.7%,14.0%で,大麻などの入手可能群の3.1%,3.2%と比較して高かった(p<0.01)。

考察 対象とした中学では,多くの生徒が中学1年の段階から大麻などを入手しようと思えばできると考えていることがわかった。入手できないと回答した人は,入手できると回答した人に比べ大麻の危険性の認識が乏しい人が多く,現状に対する関心の低さと認識の甘さが懸念された。今後は,入手しようと思えばできるが,大麻をはじめとした薬物を,自分の意志で,主体的に,拒否していく態度を養うことを目指していく必要がある。また,多くの薬物のゲートウェイドラッグとなるタバコを吸わないという防煙教育を徹底することが大切と思われた。

キーワード 喫煙,大麻,違法薬物,ゲートウェイドラッグ,中学生

 

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