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第58巻第2号 2011年2月

要介護度の経年変化

-同一集団における要介護度分布の9年間の変化-
長田 斎(オサダ ヒトシ) 原田 洋一(ハラダ ヨウイチ) 畦元 智惠子(アゼモト チエコ)
和久井 義久(ワクイ ヨシヒサ)

目的 一自治体における一時点の要介護者集団について,要介護度の分布や生死等の中長期的な経年変化を明らかにすることを目的とした。

方法 東京都杉並区において,平成13年4月1日の時点で要介護認定を受けていた要支援・要介護者の全員を対象者として,6カ月ごとの要介護度,転出,死亡の情報を平成22年4月1日までの9年間分抽出し,要介護度等の分布の変化を観察した。また,Cutler-Ederer法により対象者全体および要介護度別に生存率を推計した。

結果 対象者全体では,観察期間の前半の4.5年経過後までにほぼ半数が死亡したが,9年後でも約25%は生存しており,死亡確率は観察期間の前半・後半ともおおむね同程度であった。要介護度別にみると,いずれの群でも当初の要介護度を維持している者は観察開始直後に急激に減少し,1年から2年の間に半減していた。またいずれの群も当初の要介護度から軽度に移行した者が認められたが,要介護2以上の群では観察開始6カ月後をピークにその後徐々に減少していた。平成18年4月の制度改正を契機に要支援が増加し要介護1が減少したが,同時に要介護2も増加していた。要支援・要介護1では,要介護2以上に比して,重度に移行した者の割合は少なかった。生存率曲線は,要介護度が重度な場合ほど下降する指数曲線状の形態となり,5年後に最大の差が認められた。

結論 本研究により,要介護者のnatural historyの基礎となるべき状態像の変化を示すことができた。また同一集団の要介護度の維持・改善率や生存率など,介護保険事業を比較的簡易かつ効果的に評価していくための示唆を得ることができた。

キーワード 要介護者,要介護度,経年変化,生存率

 

論文

 

※論文中で言及されている参考表のデータはこちらからダウンロードして下さい。