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第54巻第11号 2007年10月 2004年の都道府県別在宅死亡割合と医療・社会的指標の関連宮下 光令(ミヤシタ ミツノリ) 白井 由紀(シライ ユキ) 三條 真紀子(サンジョウ マキコ)羽佐田 知美(ハサダ トモミ) 佐藤 一樹(サトウ カズキ) 三澤 知代(ミサワ トモヨ) |
目的 わが国では,多くの一般集団および患者が終末期に自宅で療養すること,自宅で死亡することを望む。しかし,実際に自宅で死亡する割合は2004年では12.4%であり,希望と現実には大きな乖離が存在する。そこで本研究では,2004年の都道府県別在宅死亡割合と医療・社会的指標との関連の検討を行った。
方法 平成16年人口動態統計の死亡場所別にみた都道府県別死亡百分率から,2004年の自宅における死亡割合を把握した。厚生労働省等の全国統計資料および総務省統計局による「統計でみる都道府県のすがた2006」から,先行研究を参考に都道府県別在宅死亡割合に関連する可能性がある2004年または直近の医療・社会的指標を抽出した。単変量解析としてPearsonの積率相関係数を計算し,多変量解析として重回帰分析を行った。
結果 単変量解析の結果,都道府県別在宅死亡割合には病院数(人口10万対)がr=-0.66,病院・診療所病床数(人口10万対)がr=-0.67,病院病床数(人口10万対)がr=-0.64,診療所病床数(人口10万対)がr=-0.63,入院受療率(65歳以上人口10万対)がr=-0.74,平均在院日数がr=-0.67の関連を示した。重回帰分析の結果,都道府県別在宅死亡割合の独立した有意な関連指標と考えられたものは,老衰の死亡率(人口10万対,標準化偏回帰係数0.48,P=0.001),病院・診療所病床数(人口10万対,標準化偏回帰係数-0.66,P=0.001)であった。また,一般病院の100床当たり看護師・准看護師数(標準化偏回帰係数0.14,P=0.13)も最終的なモデルに含まれた。このモデルの決定係数(R2)は0.690であり,自由度調整済み決定係数(R2)は0.668であった。
結論 都道府県別在宅死亡割合は,老衰の死亡率(人口10万対)と有意な正の相関を示し,病院・診療所病床数(人口10万対)と有意な負の相関を示した。
キ-ワ-ド 終末期医療,緩和ケア,在宅死,指標,地域相関研究