メニュー

論文記事:スギ花粉症における暴露と感作、発症の量反応関係 200109-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

情報提供

情報提供

第48巻第10号 2001年9月

スギ花粉症における暴露と感作、発症の量反応関係

寺西 秀豊(テラニシ ヒデトヨ) 内田 満夫(ウチダ ミツオ) 加藤 輝隆(カトウ テルタカ)
加須屋 實(カスヤ ミノル) 小笹 晃太郎(オザサ コウタロウ)

目的 空中花粉飛散量を暴露指標とした場合,暴露量とスギ花粉症の感作および発症に量反応関係が存在するか否かを疫学的に検討する。
方法 富山県で花粉症情報システムの一環として耳鼻科医と眼科医を受診した花粉症患者調査が実施されている。ここでは1996年から2000年までの5年間のスギ花粉総飛散数と花粉症患者数の関連性について検討した。
京都府では1町において小中学校の学童を対象にスギ花粉症疫学調査が実施さ れている。1997年には学童458人の血清スギIgE抗体が測定された。ここでは出生月とスギIgE抗体価に関する研究成果に基づき10月から次年の1月までに生まれた学童における血清スギIgE抗体と出生早期スギ花粉暴露量との関連性について検討した。
結果 富山県における花粉症患者数とスギ花粉総飛散数の関連性を検討すると,花粉数の多い年には,花粉症患者の発症も多く,スギ花粉総飛散数(対数変換値)と花粉症患者数の間には相関係数r=0.99 (p<0.01)と男女ともに高い相関関係が認められた。このことはスギ花粉総飛散数が多いと患者の発症も多いという量反応関係の存在することを示している。
また京都府における調査では,出生早期暴露の指標として,京都府立医科大学における各年のスギ花粉総飛散数を使用したが,10月から1 月までに生まれた学童におけるスコア4 以上の IgE抗体保有率との間にスピアマンの順位相関係数でr =0.73(p <0.05)と有意の相関が認められた。このことはスギ花粉暴露と感作との間にも量反応関係の存在することを示唆している。
結論 空中花粉飛散量を暴露指標とした場合,スギ花粉症の感作および発症に量反応関係が存在することが示された。さらに研究をすすめ,環境中スギ花粉量を闘値あるいは環境基準値等として設定できないか検討したい。
キーワード スギ花粉症,疫学,空中花粉,発症,闘値,量反応関係

 

論文