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論文記事: 児童福祉施設入所児童への家庭復帰支援と親のメンタルヘルス問題 201412-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第61巻第15号 2014年12月

児童福祉施設入所児童への家庭復帰支援と
親のメンタルヘルス問題

松宮 透髙(マツミヤ ユキタカ) 井上 信次(イノウエ シンジ)

目的 児童福祉施設における,親にメンタルヘルス問題がみられる入所児童への家庭復帰支援の現況を明らかにし,その促進に向けた課題を提示することが本研究の目的である。

方法 中国地方5県に所在する児童福祉施設(児童養護施設,乳児院,情緒障害児短期治療施設,児童自立支援施設)に対し,所属する家庭支援専門相談員(FSW)への質問紙調査を行った。質問紙では入所する全児童の個々について,属性,被虐待経験の有無,親や世帯の状況などをたずね,家庭復帰の見込みおよび支援実施状況との関連性を統計的に分析した。

結果 入所児童の45.6%,とくに被虐待経験のある入所児童の68.8%の親にメンタルヘルス問題がみられた。家庭復帰支援自体活発ではないが,とくに親にメンタルヘルス問題がある場合,FSWは家庭復帰の見込みを困難と認識する傾向が明らかになった。一方で,入所期間は親のメンタルヘルス問題と必ずしも関連しておらず,その他の要因によって規定されている可能性が示唆された。また,精神科医療機関との連携も不十分な状況にあることが明らかになった。

結論 児童福祉施設に入所する児童,とりわけ被虐待児童の親にメンタルヘルス問題がみられる割合は高い。一方で,FSWからみたその家族復帰の見込みは厳しく,働きかけも積極的とはいえない。安定的な家庭復帰のためには,とりわけ親のメンタルヘルス問題に対応できる支援方策の開発や体制整備が必要である。これらを欠いたまま表面的な家庭復帰が促進されることのないよう,早急に対策を講じるべきである。

キーワード 児童福祉施設,家庭復帰支援,メンタルヘルス問題,家庭支援専門相談員(FSW)

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