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論文記事:第15回OECDヘルスアカウント専門家会合 201403-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第61巻第3号 2014年3月

第15回OECDヘルスアカウント専門家会合

満武 巨裕(ミツタケ ナオヒロ)

本誌において,著者は第10回OECDヘルスアカウント専門家会合から議題および論点について報告してきた。今回は,2013年10月16~17日に開催された第15回OECDヘルスアカウント専門家会議について報告する。

Ⅰ は じ め に

日本の総医療費は,2012年に初めて対GDP比でOECD加盟国の平均を超えた1)。しかし,この総医療費は,厚生労働省大臣官房統計情報部が公表している国民医療費とは異なり,OECD(経済協力開発機構)が2000年に公表した国民保健計算(National Health Accounts)のガイドラインであるSHA(A System of Health Acc­ounts)1.0に準じて推計した総保健医療支出のことである2)。総保健医療支出は,厚生労働省統計情報部から公表される医療保険制度下における支出の国民医療費に加えて,一般薬,正常分娩や歯科自由診療など医療保険の対象外の費用,介護,健康維持・増進,公衆衛生,医療機関の運営および施設整備のための費用,医療保険の運営費用なども含む3)。したがって,日本の総保健医療支出は,国民医療費と比較すると約2,3割高くなる。2010年度の総保健医療支出は約46.2兆円であり,対GDP比率で約9.6%である。一方,国民医療費は約37.4兆円であり,対GDP比率は7.8%である4)。
毎年OECD本部(フランス・パリ)で行われるヘルスアカウント専門家会合では,様々な議題が討議されているが,この数年はSHAの改訂に関する議題が大半を占める。急速な医療技術の進歩,多くの国で複雑化している保健医療システムをより正確にモニタリングするために2006年からはじまったSHAの改訂は,2011年
に終了した。改訂版SHAは,SHA2011という名称で公開され,2016年度からSHA2011に準拠した推計値に切り替わる予定である5)6)。

 

Ⅱ 第15回ヘスアカウント専門家会合の議題

 

本会合では,OECD事務局が各議題について説明を行い,ヘルスアカウント専門家とOECD事務局の議論を経て,今後の方針が決められていく。今回の議題は,9つであった(表1)。

議題1と2では,OECD事務局部門長の挨拶に続き,議長が選出され(オランダのヘルスアカウント専門家),議題および議事進行は例年通りOECD事務局が行うことが承認された。次に,事前に配布されていた前回(第14回会合)の要旨に関する説明があり,全加盟国が承認した。

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