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第60巻第15号 2013年12月 地域別人口の将来推計と全国世帯数の将来推計鈴木 透(スズキ トオル) 小山 泰代(コヤマ ヤスヨ) 小池 司朗(コイケ シロウ)山内 昌和(ヤマウチ マサカズ) 菅 桂太(スガ ケイタ) 貴志 匡博(キシ マサヒロ) 西岡 八郎(ニシオカ ハチロウ) 江崎 雄治(エサキ コウジ) |
Ⅰ は じ め に
国立社会保障・人口問題研究所は,国勢調査が行われるたびに将来人口推計と世帯数の将来推計を更新している。まず全国人口の将来推計が公表され,それに基づき一方では都道府県別・市区町村別といった地域別人口の将来推計が行われ,他方では全国の世帯数の将来推計が行われる。最後に地域別人口と全国の世帯数に基づき,都道府県別世帯数の将来推計が行われる。
2010(平成22)年国勢調査に依拠した将来推計としては,まず全国人口の将来推計である「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(以下,全国人口推計)が公表された。それに基づき「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」(以下,地域別人口推計)と「日本の世帯数の将来推計(平成25年1月推計)」(以下,全国世帯推計)が公表された。本稿では地域別人口推計と全国世帯推計の概要を紹介する。詳細は国立社会保障・人口問題研究所のホームページを参照されたい(http://www.ipss.go.jp)。なお,都道府県別世帯数の将来推計は,現在作業中である。
Ⅱ 地域別人口の将来推計
(1) 推計の枠組と方法
地域別人口推計は,2010~40年の5年ごとに,男女別,5歳階級別,地域別人口を将来推計したものである。地域別とは福島県の県全体の人口,および福島県以外の市区町村別人口である。福島県については,原発事故のため長期間立ち入りや居住が制限される市町村が複数あり,市町村別の将来人口推計が可能な状態ではないと判断された。福島県以外の市区町村は1,799で,東京23区,12政令市(札幌,仙台,千葉,横浜,川崎,名古屋,京都,大阪,神戸,広島,北九州,福岡)の128区,それ以外の764市,715町および169村から成る。全地域の合計は,全国人口推計の出生中位・死亡中位の結果に合致する。
従来は全国人口推計に次いで,まず都道府県別の将来人口推計を行い,その後に市区町村別の将来人口推計を行うという2段階の方式を採用していた。しかし東日本大震災以降,新たな県内・県間移動パターンが数多く生じたため,今回は最初から市区町村単位で将来人口推計を行い,その積み上げによって都道府県別将来推計人口を得た。
推計方法は従来どおり,コーホート要因法による。これは期末に5歳以上になるコーホートの規模は2010~15年から2035~40年に至る各5年期間の生存と移動に関する仮定から,期末に0~4歳になるコーホートの規模は,再生産年齢(15~49歳)にある女性コーホートの出生に関する仮定からそれぞれ求めるものである。
推計の出発点となる基準人口は,2010年国勢調査報告による市区町村別(福島県は県全体)