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論文記事:推計平均在院日数の数理分析 201301-07 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第60巻第2号 2013年1月

推計平均在院日数の数理分析

-推計平均在院日数と病院報告の平均在院日数の関係-(平成24年9月)

標記の資料は,平成24年9月に下記の厚生労働省 ホームページに公表された。

 ( http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken /database/zenpan/sankou.html

 公表部局(厚生労働省保険局調査課)では,資料の「はじめに」にあるように「本稿の目的は・・推計平均在院日数,推計新規入院件数・・の医療保険や医療分野における活用に資することである」との考えであって,本誌の読者にもご覧いただき,ご質問やご意見等は公表部局に直接お寄せいただき,ご活用いただければとのことである。

 平均在院日数は衛生統計においても重要な指標であるので,読者が資料をご覧になる際に参考となるよう,資料の概要等を紹介する。

 

(1) 資料の概要

 現在,入院患者の平均在院日数・新規入院患者数は患者調査の退院患者平均在院日数・新入院患者数,病院報告の平均在院日数・新入院患者数により得られているが,本資料は,医療保険のレセプト統計を用いて実質的に病院報告の平均在院日数・新入(退)院患者数と同じ「推計平均在院日数」「推計新規入院件数」が算定されるという事実とその根拠の分析を示すものである。この算定式を使うと,例えば毎月の都道府県別 75歳以上の平均在院日数,新規入院件数など,これまでの衛生統計では得られなかった統計が得られることとなる。

 下記の厚生労働省のホームページに,月次,年次,都道府県別等の統計が公表されている。

 (http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/iryou_doukou_b.html)

 衛生統計において,年齢階級別や疾病分類別等,入院患者の属性別平均在院日数等の統計が重要であるが,このような区分別統計は,3年に1回行われる患者調査により9月1カ月分の抽出調査で得られる。病院報告では,毎月,全数調査により医療機関単位の病床種類別に平均在院日数等の統計が得られているが,入院患者の属性別統計はない。このため,入院患者の属性別平均在院日数等の統計は,毎月単位,毎年度単位,全数では得られていなかった。

 一方,医療保険におけるレセプト統計では毎月,全数で,医療保険制度別かつ年齢区分別(未就学者, 65歳未満,65~70歳, 70~74歳,75 歳以上別)の入院統計が得られているほか,毎年度,全数で,制度別,性別,年齢階級別,疾病中分類別の入院統計が得られている。この統計は国民医療費の年齢階級別,疾病分類別統計の大部分を占めるものでもある。

 このレセプト統計に本資料の算定方法を用いると,レセプト統計の属性区分に対応した平均在院日数,新規入院件数等の統計が得られることとなり,衛生統計への活用が期待される。

 標記の資料について説明する。ホームページ上の資料には数理分析の性格上数式が多く読みやすくはないが,冒頭の「目次」「はじめに」と末尾の「むすび」には数式を用いないで資料の概要やねらいが書かれており,この部分だけを読んでも資料の概要やねらいが理解することができる。さらに,文書中に枠囲みの記述があり,日常の言い方で要点や数式の意味などを説明しており,理解を助けるようにしている。

(2) レセプト統計

 レセプト統計について説明する。レセプトとは診療報酬明細書のことである。病院や診療所は,入院患者の費用のうち患者から3割分を受け取り,残りの7割分を入院患者の加入している医療保険者に請求するが,その際,入院患者に行った診療行為や投与した薬とその価格,入院した日数などの明細を記した診療報酬明細書も併せて医療保険者に提出する。請求は患者1人について暦の各月の1カ月分まとめて行う。このレセプトの枚数を「件数」,各レセプトに書かれた入院日数の合計を「日数」,3割分と7割分の合計金額を「医療費」といい,件数,日数,医療費等の統計をレセプト統計とよび,ホームページに公表されている。 

 

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