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論文記事:推奨運動量レベルの運動習慣と入院外医療費との関連 201202-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第59巻第2号 2012年2月

推奨運動量レベルの運動習慣と入院外医療費との関連

-藤沢市における検討-
齋藤 義信(サイトウ ヨシノブ) 小熊 祐子(オグマ ユウコ) 鈴木 清美(スズキ キヨミ)
相馬 純子(ソウマ ジュンコ) 田中 あゆみ(タナカ アユミ) 吉田 幸平(ヨシダ コウヘイ)
小堀 悦孝(コボリ ヨシタカ)

目的 本研究は藤沢市国民健康保険被保険者を対象とした国保ヘルスアップモデル事業で得られたデータを用い,「健康づくりのための運動基準2006」で示された日本における推奨運動量(週4METs・時)レベルの運動習慣の継続・増加・減少という変化と医療費との関連について検討することを目的とした。

方法 対象は藤沢市国民健康保険被保険者1,343名(年齢63.3±5.1歳:Mean±SD)であった。医療費の分析は2002年度と2004年度の年間入院外医療費を用いた。運動習慣は質問紙により,1週間に1回30分以上の運動やスポーツを行う頻度について,事業開始時(2002年)と2年後(2004年)の追跡調査により評価した。その結果から,「運動習慣が週2回未満のまま推奨値を満たさなかった群(非推奨群)」,「週2回以上の推奨値から週2回未満に減少した群(減少群)」,「週2回未満から週2回以上に増加した群(増加群)」および「週2回以上継続し,推奨値を満たした群(推奨群)」の4群に分類した。運動習慣の変化と医療費との関連の検討には,始めに事業開始年度における医療費の群間比較を行った。その後,事業開始年度と事業最終年度の医療費の差(変化)の群間比較を多重比較検定にて行った。また重回帰分析を用いて,医療費の変化に関連する要因の検討を行った。

結果 事業開始年度の医療費は,運動習慣4群間で差はみられなかった。事業開始年度と事業最終年度の医療費の差の比較では,非推奨群と推奨群との間に有意差が認められた。事業開始年度と事業最終年度の医療費の差の平均値は,非推奨群では13,700円の増加,減少群では16,416円の増加,増加群では6,710円の増加,推奨群は94円の減少であった。重回帰分析を用いて医療費の変化に関連する要因を検討した結果,運動習慣において非推奨群に対し推奨群であることで有意に入院外医療費の増加が少なかった。一方,事業開始時の主観的健康感が低い,年齢が高い,糖尿病を治療中であることが増加に関連する要因であった。

結論 運動習慣は入院外医療費の増加に関連する要因であると考えられ,推奨運動量レベル以上の運動を継続することにより,入院外医療費の増加を抑制する傾向が示唆された。

キーワード 推奨運動量,運動習慣,生活習慣病,入院外医療費

 

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