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第61巻第7号 2014年7月 行動観察による社会能力評価「かかわり指標(成人用)実践版」の
徳竹 健太郎(トクタケ ケンタロウ) 篠原 亮次(シノハラ リョウジ) 杉澤 悠圭(スギサワ ユカ) |
目的 本研究は,成人の典型的なかかわり場面における行動観察評価と臨床評定の関連から,行動観察による社会能力評価「かかわり指標(成人用)IRSA:Interaction Rating Scale Advanced実践版」 の臨床的妥当性を検討することを目的とする。
方法 18歳以上の男女43名を対象に,日常的なかかわり場面を再現した2名1組の課題を実施した。研究者によるIRSA実践版を用いた行動観察評価と,臨床専門職による臨床評定を得点化し,関連を検討した。行動観察評価および臨床評定による「協調」「自己制御」「自己表現」の各領域得点と総合得点について,Spearmanの相関係数を算出した。
結果 行動観察評価と臨床評定の間には「協調」(r=0.62)「自己制御」(r=0.61)「自己表現」(r=0.59)「総合」(r=0.72)すべての項目に有意(p<0.001)な正の関連がみられた。
考察 行動観察評価得点と臨床評定得点に相関がみられ,IRSA実践版の臨床的妥当性が示された。社会能力の特徴を簡便に測定できる「IRSA実践版」を実践の場で活用することにより,社会能力の向上,発揮に困難のある成人に対する支援への一助につながる可能性がある。
キーワード 社会能力,かかわり,評価,指標