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論文記事:地震災害時および災害後の健康被害について 201209-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第59巻第11号 2012年9月

地震災害時および災害後の健康被害について

-阪神淡路大震災を例にとって-
尾崎 米厚(オサキ ヨネアツ)

目的 阪神淡路大震災時およびその後の健康被害について明らかにする。

方法 文献検索,文献の概要整理。死亡データの解析。

結果 震災による直接死亡という観点では,高齢者が震災弱者といえるが,若年者では,普段の年にはないほどの死亡がみられることもわかり,普段の年の状況(年齢差,性差等)が平滑化される傾向があることがわかった。直接死亡の要因として身体障害者であることも明らかになった。孤独死は中高年の男性の病死が多く,アルコールとの関連の強さも示唆された。間接死亡は,急性心筋梗塞,脳梗塞,肺炎等で認められた。消化性潰瘍の増加も指摘されている。それらの背景には,震災ストレスによる血圧,血液凝固能,血糖コントロールの悪化があり,間接死亡が数カ月から1~2年にわたり増加することの背景になっている。

結論 震災による直接死をみると高齢者や障害者など,震災弱者への対応が重要であることがわかる。震災後の間接死亡には,平常時の社会経済的要因や生活習慣等の疾病関連要因が強く影響する。震災後の2次的健康被害を減らすためにも,これらの知見を生かした,保健活動が今後ますます必要となってくる。

キーワード 震災,死亡,罹患,疫学

 

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