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論文記事:高不安者における不眠傾向および運動習慣による睡眠改善効果に関する研究 200807-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第55巻第7号 2008年7月

高不安者における不眠傾向および運動習慣による
睡眠改善効果に関する研究

田口 雅徳(タグチ マサノリ) 寺薗 さおり(テラゾノ サオリ) 浜崎 隆司(ハマザキ タカシ)
平井 誠也(ヒライ セイヤ)

目的 今日,多くの先進諸国において睡眠障害は社会問題の1つになっている。睡眠障害の原因については,これまでにも種々の要因が検討されてきたが,本研究では性格的な不安傾向の強さ(特性不安)を取り上げ,不眠症状との関連を検討することとした。さらに,本研究では高不安者の不眠症状を改善しうる要因として運動習慣をとりあげ,その睡眠改善効果について明らかにすることを目的とした。
方法 調査対象は首都圏内の私立大学に通う大学生286名であった。大学内の教室において質問紙を配布し,調査への同意が得られた者に対してのみ回答を求めた。有効回答率は94.4%であった。特性不安については状態-特性不安尺度(STAI)を使用して測定した。質問項目にはこの他に,就寝・起床時刻,眠りの深さ,目覚めの気分,入眠や睡眠維持,寝不足感に関する項目,さらに日頃の運動頻度と運動時間を尋ねる項目などが含まれていた。
結果 STAIのうち特性不安尺度の得点に基づいて高不安群と低不安群を抽出した。両群間で睡眠に関する各指標に違いがあるかを検討した結果,高不安群では入眠潜時が長くて眠りが浅く,睡眠維持が困難であること,また,寝不足感が強く,目覚めの気分が悪いことが明らかとなった。つぎに,運動習慣による高不安者の睡眠改善効果について検討した。高不安群について,まったく運動しない非運動群と,ほぼ毎日または毎日60分以上運動する運動群に分けて,睡眠に関する各指標を比較した。その結果,特性不安が高い者であっても高い頻度で運動する者はまったく運動しない者に比べて睡眠時間が長く,目覚めの気分がよいことが示された。
考察 特性不安の高さも不眠を引き起こす1つの要因であることが示された。さらに,こうした特性不安が原因で起こる不眠症状は運動習慣を形成することによってある程度緩和される可能性があることが示唆された。
キーワード 睡眠障害,特性不安,運動習慣,大学生

 

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