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論文記事:自殺死亡に対する職業および配偶関係の相乗的関連 201109-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第58巻第11号 2011年9月

自殺死亡に対する職業および配偶関係の相乗的関連

山内 貴史(ヤマウチ タカシ) 藤田 利治(フジタ トシハル) 立森 久照(タチモリ ヒサテル)
竹島 正(タケシマ タダシ) 稲垣 正俊(イナガキ マサトシ)

目的 本研究は,配偶関係と職業の有無を組み合わせた各カテゴリーについて年齢の影響を調整した自殺死亡の相対リスクを算出することにより,自殺死亡に対する配偶関係および職業の関連を明らかにすることを目的とした。

方法 1995年度,2000年度および2005年度の人口動態調査死亡票および国勢調査を用いて分析を実施した。年度別・性別に配偶関係・職業の有無別の自殺死亡数および死亡率を算出した。また,年度別・性別にポアソン回帰モデルにより,配偶関係と職業を組み合わせた各カテゴリーの相対リスクを求めた。

結果 1995年度から2000年度にかけて,自殺死亡数では有職・無職を問わず有配偶者での増加が大きかったが,増加率では離別と無職が重なった男性で2倍超の上昇と顕著であった。また,男女ともに,いずれの年度も離別と無職が重なった者の自殺死亡率が極めて高くなっていた。ポアソン回帰モデルにより,有配偶の有職者を基準とし,年齢の影響を調整した自殺死亡の相対リスクを算出したところ,調査年度間で各カテゴリーの相対リスクに大きな相違はみられず,男女ともに離別と無職が重なった者の相対リスクが一貫して極めて高いこと,および女性では未婚と無職が重なった者の相対リスクも一貫して高いことが確認された。

結論 配偶関係と職業の有無を組み合わせた各カテゴリーについて年齢の影響を調整した自殺死亡の相対リスクを算出したところ,調査年度を問わず男女ともに離別および無職は一貫して自殺のリスクを高めうること,とりわけ離別と無職が重なった状態は極めてハイリスクであることが示唆された。

キーワード 自殺,リスク因子,配偶関係,職業,相対リスク,人口動態調査

 

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