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論文記事:全国介護レセプトを用いた経口移行者実態把握の試み 201612-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第15号 2016年12月

全国介護レセプトを用いた経口移行者実態把握の試み

川村 顕(カワムラ アキラ) 田宮 菜奈子(タミヤ ナナコ) 泉田 信行(イズミダ ノブユキ)
植嶋 大晃(ウエシマ ヒロアキ) 高橋 秀人(タカハシ ヒデト) 野口 晴子(ノグチ ハルコ)

目的 わが国では誤嚥等により経口栄養摂取が困難になった高齢者に,経皮内視鏡的胃瘻造設術等の経管栄養が用いられているが,経管栄養の是非について議論するだけでなく,経管栄養から経口摂取へどの程度戻るかについても議論することが求められる。しかし,経口への移行の程度を把握する試みは,アンケート等により一部では行われているものの,全国レベルでは行われていない。そこで本研究では,全国介護レセプト個票データを用いて経口への移行の実態把握を可能な範囲で試みるとともに,その限界について考察することにした。

方法 本研究で用いるデータは,レセプト審査年月が2006年5月~2014年4月の全国介護レセプト個票である。介護レセプトデータのうち,受給者台帳ファイルと明細情報ファイルを用い,経口移行加算の利用状況を,介護老人福祉施設(特養),介護老人保健施設(老健),介護療養型医療施設(介護療養)別に,記述統計によって示した。

結果 経口移行加算者数は,老健と介護療養が同程度に多かったが,入所者に占める経口移行加算者の割合(以下,加算者割合)では介護療養(1.016%)が老健(0.274%)や特養(0.087%)に比べ多かった。加算者割合の経時推移では,3施設すべてで加算者割合の低下が確認できたが,観察期末の加算者割合を期首で除すると,老健が特養や介護療養より高かった。都道府県別の加算者割合では,各施設種類で大きなばらつきがみられた。

結論 施設種類によって経口移行加算の利用にばらつきがあること,地域間の利用にも大きな違いがあることが確認できた。ただし,経口移行者の実態により近い記述をするためには,医療レセプトと介護レセプトとの突合が必要である。

キーワード 全国介護レセプト,経口移行加算,経管栄養,医療レセプト

 

 

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