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論文記事:同居家族からのソーシャル・サポートが高齢者の閉じこもり発生に与える影響 201708-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第64巻第8号 2017年8月

同居家族からのソーシャル・サポートが
高齢者の閉じこもり発生に与える影響

山脇 功次(ヤマワキ コウジ) 黒田 佑次郎(クロダ ユウジロウ) 安村 誠司(ヤスムラ セイジ)

目目的 高齢者の閉じこもりは,要介護状態のリスクファクターである。独居高齢者に比べ同居家族がいる高齢者に閉じこもりが多いことから,家庭内での高齢者へのサポート状況が閉じこもり発生に関連すると考えられる。同居家族がいる閉じこもりは,家族関係が希薄であり,家庭内で心理的に孤立しやすい状況にあることや,家族による過干渉なサポートの可能性が推察される。本研究は,閉じこもり予防・支援に資する目的で,同居家族からのソーシャル・サポートが閉じこもり発生に与える影響を検討した。

方法 福島県大玉村在住の70歳以上高齢者のうち,要支援・要介護認定者,入院中の者を除く全1,347人を対象とした。初回調査は2004年と2005年,追跡調査は2010年に実施した。初回および追跡調査の回答者は839人であった。このうち初回時に独居と閉じこもりを除外し,初回および追跡調査における閉じこもり項目の欠損を除外した665人を分析対象とした。調査項目は,基本属性,家族構成,ソーシャル・サポート(情緒的・手段的),閉じこもりの有無,身体・心理的要因について回答を求めた。ソーシャル・サポートを情緒的,手段的サポートに分けた。性別,年齢,および単変量解析で閉じこもり発生に関連する変数を調整変数としたうえで,2種のサポートを説明変数,閉じこもり項目を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。

結果 性別は男性284人(42.7%),女性381人(57.3%),年齢の平均値は76.0±4.6歳であった。追跡調査時までの閉じこもり発生は101人(15.2%)であった。閉じこもり発生は非閉じこもりと比べて,年齢(p<0.001),聴力(p=0.001),うつ傾向(p=0.002)の値が有意に高かった。一方,老研式活動能力指標(p<0.001),生活体力指標(p=0.014)は,閉じこもり発生が有意に低かった。多重ロジスティック回帰分析の結果,同居家族からのソーシャル・サポートと閉じこもり発生の関連には,統計的に有意な関連が認められなかった。

結論 同居家族からのソーシャル・サポートと閉じこもり発生の関連には,統計的に有意な関連が認められなかった。さらなる追跡検討が今後の課題である。

キーワード 閉じこもり,ソーシャル・サポート,同居家族,コホート研究

 

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