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論文記事:レセプトデータを使用した虚血性心疾患における保険者別入院受療行動と二次医療圏の設定に関する研究 201709-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第64巻第11号 2017年9月

レセプトデータを使用した虚血性心疾患における
保険者別入院受療行動と二次医療圏の設定に関する研究

藤田 貴子(フジタ タカコ) 原野 由美(ハラノ ユミ)
姜 鵬(キョウ ホウ) 馬場園 明(ババゾノ アキラ)

目的 わが国においては,心疾患は悪性腫瘍に次いで二番目に死亡順位が高い。また,既設の二次医療圏が入院医療提供を行う圏域として成り立っていない場合は,見直しの検討が必要とされている。医療圏の設定に関する研究はあるものの,加入保険別の受療行動の違いを踏まえた検証はされていない。このことから,本研究では,福岡県内の2保険者のレセプトデータを利用し,虚血性心疾患による入院受療行動の現状を保険者ごとに二次医療圏別に可視化し,現状に合った医療圏の設定について検証を行った。

方法 福岡県後期高齢者医療広域連合および福岡県国民健康保険の被保険者を対象とした。対象期間は2014年4月から2015年3月とし,この期間に虚血性心疾患による入院がある被保険者を抽出し,入院全体,経皮的冠動脈形成術,冠動脈・大動脈バイパス移植術のあるものを集計した。なお,疑い,後遺症によるものは除外した。福岡県の13の二次医療圏別に患者居住圏域と医療機関所在圏域を基に,保険者別の二次医療圏完結率,移動率,交流率を算出した。また,各医療圏の交流率から数値の高い二次医療圏同士を集約し,新たな医療圏の設定の可能性について検証した。

結果 虚血性心疾患による入院を保険者別,二次医療圏別に集計した結果,入院全体の完結率は,23.0%~98.2%,経皮的冠動脈形成術の完結率は,0~98.7%,開胸手術の完結率は0~100%と差が大きかった。また,流入率,流出率についても同様に差が大きく,流入率が90%を超える圏域や,経皮的冠動脈形成術や開胸手術における流出率が100%の圏域もあり,集約化の必要性が認められた。入院全体での交流率を保険者別に算出し,数値の高い医療圏を集約したところ,カットオフ値を1.50とした場合は5および6医療圏,2.0とした場合は7医療圏へ集約することができた。

結論 本研究の結果から,現在の二次医療圏の設定では入院医療は完結できていないこと,加入保険により居住医療圏内での完結率に差があることが明らかとなった。また,先行研究の結果を踏まえ,医療圏の集約を試みたところ,最終的には4医療圏が妥当であると考えられた。現在の医療圏で入院医療は完結できていないため,現状に見合った計画を実施するためにも,保険者別や疾患別のデータ等を使用して受療行動を可視化し,医療圏を見直す必要がある。

キーワード レセプトデータ,虚血性心疾患,二次医療圏,保険者