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論文記事:社会経済的要因と特定健診結果の関連について 201710-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第64巻第12号 2017年10月

社会経済的要因と特定健診結果の関連について

-市町村単位の生態学的研究-
中島 富志子(ナカジマ トシコ) 萱場 一則(カヤバ カズノリ) 延原 弘章(ノブハラ ヒロアキ)

目的 メタボリックシンドロームの対策を主目的とした特定健康診査・特定保健指導では,食事や運動などの個人の生活習慣が重視されているが,健康に影響を与える要因として,環境因子である社会経済的要因も注目されている。そこで本研究では,社会経済的要因に関する5つの指標と特定健診結果との関連について検討を行った。

方法 埼玉県内市町村の財政力指数,1人当たり市町村民所得,就業者1人当たり市町村内純生産,生活保護率および完全失業率を社会経済的要因の指標とし,同県市町村国民健康保険加入者の平成23年度の特定健診結果との関連を,人口規模で調整した偏順位相関係数により生態学的に検討した。特定健診結果からは,生活習慣項目として食習慣,運動習慣,歩行または身体活動,歩行速度,体重の増減,喫煙,飲酒,睡眠に関する質問項目,身体計測項目・血液検査項目としてBMI,腹囲,収縮期血圧,拡張期血圧,中性脂肪,HDLコレステロール,LDLコレステロール,HbA1c,γ-GT,判定項目として高血圧,糖尿病,脂質異常,メタボリックシンドローム判定を抽出し,いずれも男女・65歳未満/以上別に区分して平均値・該当者割合を市町村ごとに集計し,分析に供した。

結果 財政力指数および市町村民所得については,これらの指標値の高い市町村ほど,すなわち社会経済的要因の指標が良好な市町村ほど,食生活を中心に生活習慣が好ましくない状態であり,BMI,腹囲およびγ-GTもおおむね不良で,65歳以上の男では糖尿病,脂質異常,メタボリックシンドローム判定の割合が高くなっていた。一方,一般に社会経済状態の悪い指標とみなされる生活保護率についても,高い市町村ほど特定健診結果は不良の傾向がみられたが,財政力指数および市町村民所得と正の相関がみられるなど,生活保護率の高さは,必ずしも当該市町村の社会経済状態との悪さを直接反映するものではないことが示唆された。また,市町村内純生産および完全失業率と特定健診結果との間には,関連はみられなかった。

結論 財政状況が良好で生活保護率が高い自治体では,特定健診の結果が好ましくない傾向がみられた。健康状態の指標値が市町村国保加入者の平成23年度の特定健診の受診者のものであることや生態学的研究デザインであることなどの制約はあるが,自治体の社会経済状態が住民の健康状態に影響を与えている可能性が示唆された。

キーワード 特定健康診査,社会経済状態,健康格差,市町村国民健康保険