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論文記事:特別養護老人ホームの「地域における公益的取組み」の実施状況と関連要因 201804-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第65巻第4号 2018年4月

特別養護老人ホームの「地域における公益的取組み」
の実施状況と関連要因

島﨑 剛(シマサキ ツヨシ)

目的 本研究は,社会福祉法人の「地域における公益的取組み」について,特別養護老人ホーム(以下,特養)に焦点をあて,その実態を明らかにし,実施の有無に関連する要因を検討することを目的とした。

方法 調査方法は,全国の特養9,495箇所より,都道府県別に2,000箇所を層化無作為抽出し,公益的取組み担当者あてに,無記名自記式質問紙を用いた郵送調査を実施した。分析方法として,すべての項目で単純集計を行い,公益的取組みの実施有無に関連する要因について,仮説を「実施群と未実施群では,実施体制と推進状況が異なる」とし,公益的取組みの実施群と未実施群の2群でクロス集計を行い,χ2検定およびMann-WhitneyのU検定を実施した。その後,公益的取組みの実施有無を従属変数とし,各検定で有意差のあった変数を独立変数とした二項ロジスティック回帰分析を実施した。回収数は365部(有効回収率18.3%)で,欠損値が多いものを除き,最終的な分析対象は357部とした。

結果 本調査で得られた実施群(225件)における公益的取組みの内容は「交流の場の提供」や「福祉教育」が多かった。また,「災害時対応」や「総合相談」「生活困窮者支援」など,制度の狭間の生活課題への対応や高齢者に限定しない取組みもみられた。さらに,公益的取組みの対象としては高齢者のみが最も多かった。公益的取組みの実施有無に関連する要因は,実施群と未実施群で実施体制と推進状況に有意差がみられた。特に,住民との話し合い,住民との取組みの計画策定が関連していた。

結論 本調査結果から,公益的取組みの内容として,特養が従来から担ってきた施設機能が生かされていたものが多く,今後対象を拡大する必要性が示唆された。また,本調査では回収率が18.3%であったことから,公益的取組みの担当者が不在で,未実施の施設も多くある可能性が示唆された。一方で,公益的取組み実施の関連要因として,住民との協議の場を持ち,計画段階から協働する体制を整えることが公益的取組みの推進に寄与すると考えられることから,施設全体の組織的な体制づくりと住民との協働による取組み推進の必要性が示唆された。

キーワード 社会福祉法人,特別養護老人ホーム,地域における公益的取組み,地域福祉実践