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論文記事:在宅療養者の緊急入院時に地域包括ケア病棟は足りているのか 201806-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第65巻第6号 2018年6月

在宅療養者の緊急入院時に
地域包括ケア病棟は足りているのか

-「地域包括ケア病棟の受け入れ指標」による検討-
前川 一恵(マエカワ カズエ) 星山 佳治(ホシヤマ ヨシハル)

目的 在宅医療の充実が政策として示され,2014年度診療報酬改定で在宅療養者の緊急入院時の受け入れ体制の機能を有する地域包括ケア病棟が創設された。一方で,在宅医療の課題として「緊急時に入院できる病床の確保困難」が指摘され,地域包括ケア病棟が不足していることが推察できるが,1つの地域包括ケア病棟が担う可能性のある在宅療養者数やその充足度は具体的に示されていない。そこで,本研究において,1つの地域包括ケア病棟が担う可能性のある在宅療養者数を指標として示し,全国の地域区分ごとに地域包括ケア病棟の充足度を検討した。

方法 2017年8月に,厚生労働省と総務省統計局が公開しているアクセス可能な統計データを利用し,在宅療養者数を地域包括ケア病棟のある病院数で除した指標を「地域包括ケア病棟の受け入れ指標」と呼ぶことにした。全国の地域を政令指定都市・中核市,その他の市,町村部,市町村が合併した広域連合・組合の4つに区分した151カ所について,この指標を用い充足度を検討した。この指標の数字が小さいほど,1つの地域包括ケア病棟の担う可能性のある在宅療養者数が少なく,緊急入院時の受け入れ体制が整っていることを示している。

結果 全国の在宅療養者3,885,446人に対して,地域包括ケア病棟は1,960病院あり,1つの地域包括ケア病棟が担う可能性のある在宅療養者の全国平均値は1,982人であった。「地域包括ケア病棟の受け入れ指標」の最も小さい大分県町村部(479人)と,最も大きい沖縄県中核市(9,819人)を比較すると約20倍もの差があった。また,7つの地区に地域包括ケア病棟の設置がなかった。

結論 本研究で用いた指標によって地域包括ケア病棟の充足度を検討した結果,地域包括ケア病棟の設置は全国でいまだ大幅に不足しており,在宅療養者の緊急入院時受け入れ体制の未充足が明らかとなった。

キーワード 在宅療養者,地域包括ケア病棟,緊急入院,地域包括ケア病棟の受け入れ指標