論文
第65巻第6号 2018年6月 第2回NDBオープンデータにおける
吉見 逸郎(ヨシミ イツロウ) |
目的 第2回NDBオープンデータで公開された,特定健診における必須の問診項目や医療管理等の算定回数の集計データおよび国民生活基礎調査の集計データ等を活用し,喫煙率や禁煙に関する資源の状況について,都道府県別の比較を目的とした集計を行った。
方法 ホームページ上から入手できる,第2回NDBオープンデータ,国民生活基礎調査,日本禁煙学会によるニコチン依存症管理料算定機関のデータを利用した。
結果 第2回NDBオープンデータの特定健診の問診項目を用いた,都道府県別,性・年齢別(40-74歳)の喫煙率は,国民生活基礎調査とほぼ同様の傾向を示した。喫煙者あたりのニコチン依存症管理料の初回算定数は1%程度にとどまり,禁煙したいという喫煙者が約3割とのデータに比べて非常に低かった。ただし,実施状況や機関数は都道府県間でばらついた。
結論 今回,喫煙に関する事項について,NDBオープンデータの公表値を用い,既存の公的統計と比較した。40-74歳の都道府県別の特定健診受診者における喫煙率は,国民生活基礎調査と同様の傾向を示していた。今後,各保険者などでの業種別・支所別などでの喫煙状況等と比較して,禁煙支援を含めた具体的な保健事業の必要性を認識し企画につなげたり,都道府県保険者協議会レベルでも喫煙関連のデータを集計・分析して地域・保険者レベルでの認識や取り組みが促されていくことを期待したい。禁煙については,機関数の存在・実施状況には都道府県間のばらつきがあった。しかし全国集計でみると,喫煙者の1%程度しか1年に禁煙治療を開始しておらず,禁煙したいと思う喫煙者の割合が約3割前後であることを踏まえても,圧倒的に低い値であることがわかった。喫煙という行為は非常に再発しやすいものであるが,禁煙支援をめぐる状況については,禁煙治療に関する量的な面も含め,まだ課題が残っている。
キーワード 喫煙率,第2回NDBオープンデータ,国民生活基礎調査,ニコチン依存症管理料算定機関,禁煙治療,禁煙支援