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論文記事:在宅要介護高齢者を介護している家族における自記式うつ尺度の分布の考察と回答欠損者の抑うつ状態の評価について 201806-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第65巻第6号 2018年6月

在宅要介護高齢者を介護している家族における自記式うつ尺度
の分布の考察と回答欠損者の抑うつ状態の評価について

平 和也(タイラ カズヤ) 伊藤 美樹子(イトウ ミキコ)

目的 わが国では,高齢化が進展し,在宅療養支援が進められている状況において,家族介護者の増加およびその高齢化も進展している。家族介護者のQOLの保持・増進は重要である。本研究では,日本語訳CES-D短縮版(11項目)(以下,CES-D11)に着目した。①CES-D11の欠損値の出現状況と得点の分布を観察し,多重代入法による欠損値の補完前後におけるCES-D11得点の特徴を欠損値の有無別に評価した。以上より,②欠損値がうつの評価に与える影響について考察し,介護者のうつ状態の発見やスクリーニングの精度の向上に関する示唆を得ることを目的とした。

方法 2008年に東大阪市で要介護認定を受けている要介護者を,要介護度別に3,808件を無作為抽出し,郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。有効回答の中で,介護者が家族であった1,016件を用いた。CES-D11に含まれた欠損値は,MICEアルゴリズムによる多重代入法によって補完した(代入値の収束確認のため,5回実施)。補完値代入後のCES-D11の修正得点(Modified CES-D11,以下,M_CES-D11)の分布を観察し,Shapiro-Wilkの正規性の検定を行った。また,CES-D11の欠損値の有無別にM_CES-D11得点を比較し,Wilcoxon順位和検定を行った。

結果 分析に用いた変数の欠損値の割合は,5.4-23.5%の範囲にあり,CES-D11に欠損値を1つでも含む割合は22.8%であった。多重代入法による欠損補完後のM_CES-D11のヒストグラムは直感的に二峰性様の分布を示し,Shapiro-Wilk検定の結果,0.979≦W≦0.980,p<0.01となり正規性が否定された(5/5回)。CES-D11の欠損値の有無別にみたM_CES-D11のWilcoxon順位和検定の結果は,98714.5≦W≦99071.0,p<0.05(3/5回)となり,欠損値有群が有意に高かった。

結論 欠損値の補完方法によらず,介護者という対象者の特性が分布に影響し,CES-D11が二峰性様の分布が確認された。また,欠損値有群のほうがうつ傾向が強くなっていることから,欠損値の処理の仕方によって,うつ傾向にあるハイリスク対象者を分析から除外してしまうことにつながるため,欠損値の扱いには留意が必要である。

キーワード 在宅要介護高齢者,介護者,うつ尺度,多重代入法,CES-D