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論文記事:高齢者福祉施設における介護人材の共感疲労およびレジリエンスの構造 201808-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第65巻第8号 2018年8月

高齢者福祉施設における介護人材の共感疲労
およびレジリエンスの構造

松田 美智子(マツダ ミチコ) 南 彩子(ミナミ アヤコ) 北垣 智基(キタガキ トモキ)

目的 日本では介護現場における人材確保が喫緊の社会的課題となっている。介護現場従事者のストレスを低減し,レジリエンスを高めることで離職防止に繋がるのではないかと考えた。本研究は,高齢者福祉施設で従事する介護人材の共感疲労やレジリエンスを構成する要因を因子分析によって明らかにするとともに,その傾向を探ることを目的とする。

方法 本研究は2016年8月1日~9月6日の期間,高齢者介護福祉施設・事業所の職員697名に対して,留め置き法のアンケート調査を実施した。調査項目については,松田らによるインタビュー調査と文献による既存の尺度を参考に,共感疲労・レジリエンスを問う下位項目をそれぞれ25項目作成し,探索的因子分析を行った。

結果 調査対象者の総数(質問紙配布数)は697名であり,最終的に調査票551部を回収した(有効回収率79.1%)。またデータクリーニングとチェックを行った結果,有効回答数は537,無効回答数は14であった(有効回答率97.5%)。共感疲労・レジリエンスに関して23項目・5因子を抽出することができた。共感疲労については「精神的消耗感」「援助者としての規範意識へのとらわれ」「利用者との対応場面でのストレス」「援助者としての感情管理」「心身のストレス反応」の5因子,レジリエンスについては「前向きな気持ちへの切りかえ」「人的サポート」「自己肯定感」「職場のサポート」「困難への対処法」の5因子が抽出された。各5因子の因子得点について回答者の「性別」および「仕事を辞めたいと思ったことの有無」別でT検定による検討を行った結果,共感疲労の得点が高い者は離職意向を有する傾向があった。共感疲労については男性よりも女性の方が高い傾向にあった。レジリエンスが高い人は職場に踏みとどまろうとする傾向があった。

結論 今後は因子分析により抽出された下位尺度を手掛かりとしながら,介護人材の離職を防止するための評価指標を用いた「介護現場で働く人材の離職防止のためのマニュアル」を作成し,共感疲労に伴う心身のストレスついて高齢者介護福祉現場での理解を深め,職員自身が共感疲労の度合いを自己評価し,さらにはレジリエンスを高めていけるようなツールを開発していきたい。職員に対する教育・研修等の場でこうしたツールの活用を進めていくことが,介護人材の離職をくい止めるための解決策の一助となると考える。

キーワード 共感疲労,レジリエンス,因子分析,介護人材の離職防止