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論文記事:生後3-4か月の子どもを持つ母親の育児困難感とソーシャル・キャピタルとの関連 201808-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第65巻第8号 2018年8月

生後3-4か月の子どもを持つ母親の育児困難感と
ソーシャル・キャピタルとの関連

-都道府県単位の生態学的研究-
榊原 文(サカキハラ アヤ) 濱野 強(ハマノ ツヨシ) 篠原 亮次(シノハラ リョウジ) 秋山 有佳(アキヤマ ユウカ)
中川 昭生(ナカガワ アキオ) 山縣 然太朗(ヤマガタ ゼンタロウ) 尾崎 米厚(オサキ ヨネアツ)

目的 少子化,核家族化といった家族形態の変化や,地域とのつながりの希薄化により,育児困難感を抱えている母親が増加している。この状況に対して,「健やか親子21(第2次)」では,重点課題として「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」,基盤課題として「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」が示された。そして,地域との信頼関係や相互扶助の意味を包含するソーシャル・キャピタル(SC)の醸成と活用により,すべての親子を支える重要性が明確に打ち出された。しかし,SCが子育てのどのような状況に有益な影響を及ぼすのかについては,定量的な知見が十分に示されていない。そこで本研究では,育児困難感とSCとの関連を都道府県単位の生態学的研究により明らかにすることを目的とした。

方法 各都道府県のSCは,平成19年に日本総合研究所がWeb方式で行った全国アンケート調査結果を用いて,一般的な信頼度,地縁的な活動への参加状況,スポーツ・趣味・娯楽活動への参加状況をSC指標として選定した。育児困難感を抱えている割合は,平成25年「健やか親子21」の最終評価において,3-4か月健診の調査結果のうち,「ゆったりとした気分でお子さんと過ごせる時間がありますか(いいえの割合)」「育児に自信が持てないことがありますか(はいの割合)」「子どもを虐待しているのではないかと思うことがありますか(はいの割合)」の項目を用いた。各都道府県のSC指標を独立変数,育児困難感を抱えている割合を従属変数,父親の育児参加がない割合,子育ての相談相手がいない割合,6歳未満の世帯員のいる世帯の母子世帯割合,20歳以上喫煙率,育児をしている女性の有業率を共変量としてロジスティック回帰分析を行った。解析では,育児困難感を抱えている割合の第3四分位に基づき2値に分類した。なお,各都道府県のSC指標を算出する際のサンプル数が10未満であった3県を除く44都道府県を分析した。

結果 多変量ロジスティック回帰分析の結果,「育児に自信が持てない割合」と一般的な信頼度に有意な関連を認めた(オッズ比=0.03,95%信頼区間(0.00-0.56),p=0.018)。

結論 一般的な信頼度が高い都道府県は,「育児の自信が持てない割合」が低いことが示された。他者への信頼感が高いと,他者との良好な関係の中で,育児認識をポジティブに捉えられることが,育児の自信につながると考えられた。

キーワード 育児困難感,ソーシャル・キャピタル,生態学的研究