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論文記事:困窮度による子どもの健康格差 201809-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第65巻第11号 2018年9月

困窮度による子どもの健康格差

-大阪府子どもの生活に関する実態調査より-
駒田 安紀(コマダ アキ) 嵯峨 嘉子(サガ ヨシコ) 小林 智之(コバヤシ トモユキ)
山下 剛徳(ヤマシタ ヨシノリ) 所 道彦(トコロ ミチヒコ) 山野 則子(ヤマノ ノリコ)

目的 本研究では,「大阪府子どもの生活に関する実態調査」の中で,貧困による子どもの健康格差を明らかにした。貧困を測る指標として等価可処分所得を基に区分した「困窮度」を用い,健康に関わる行動や習慣,自覚症状,肥満度との関係を分析した。

方法 大阪府全域における小5・中2とその保護者を対象に質問紙調査を実施した。調査期間は,2016年6月27日~9月30日であった。80,130世帯160,260人に調査票を配布し,99,809人から回答を得た(回収率62.3%)。回答者内訳は,小5:26,540人,中2:23,558人,学年不明の子ども:8人,小5保護者:26,342人,中2保護者:23,323人,学年不明の保護者:38人であった。分析にあたっては,貧困の程度を示すために,困窮度Ⅰ群(等価可処分所得の中央値50%未満),困窮度Ⅱ群(同50%以上60%未満),困窮度Ⅲ群(同60%以上中央値未満),中央値以上群の4区分を設けた。分析は,困窮度を独立変数とし,起床,就寝,睡眠,朝食摂食についてはχ2検定および残差分析,経済的理由による経験,自覚症状については単純集計を行った。肥満度については,身長と体重からローレル指数を算出し,分散分析および多重比較を行った。

結果 生活習慣の面では,困窮度が高まるにつれて起床・就寝の規則性が失われるとともに睡眠時間も一定でなくなり,朝食の摂取頻度も低くなっていた。また,中央値以上群の睡眠時間は小5では長いのに対し,中2では短い傾向にあった。経済的な理由による経験はいずれも,困窮度が高まるにつれ,該当する割合が徐々に高くなっていた。ただし,「子どもを医療機関に受診させることができなかった」では,困窮度が高くなっても割合の伸びは緩やかであった。子どもの感じる自覚症状を12の具体的な症状から把握したところ,困窮度が高まるにつれて自覚症状を感じる子どもの割合は高くなった。小5と中2とで該当する割合の高い項目が異なり,困窮度が高いほど,小5では掻痒のある割合が高く,中2では頭痛,腹痛,不安,イライラなど,精神的な症状を抱える傾向にあった。肥満度については,中2男子の中央値以上群においてやせぎみであったことを除いては,すべて正常の範囲に含まれていた。性別に関わらず,おおむね,困窮度が高まるにつれて肥満度は高くなり,困窮度Ⅰ群において中央値以上群よりも有意に高かった。

結論 困窮度4区分において健康に関わる習慣・健康状態を比較したところ,生活習慣,経済的な理由による経験,自覚症状,肥満度すべての項目において,困窮度による子どもの健康格差が明らかとなった。また,具体的な自覚症状をたずねたことで,中2において精神面の症状を抱える割合が高まる傾向を得ることができた。

キーワード 大阪府,子ども,貧困,困窮度,健康格差