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論文記事:後期高齢者における歯数と医療費との関連 201811-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第65巻第13号 2018年11月

後期高齢者における歯数と医療費との関連

-三重県後期高齢者医療広域連合歯科健診の結果とレセプトデータから-
齋藤 瑞季(サイトウ ミズキ) 嶋﨑 義浩(シマザキ ヨシヒロ)
野々山 順也(ノノヤマ トシヤ) 田所 泰(タドコロ ヤスシ)

目的 高齢者における医療費の増加は重大な社会問題であり,医療費の抑制および適性化が課題となっている。これまで,口腔の健康と全身の健康との関連については数多く報告されているが,歯数と医療費との関連についての報告は少なく,情報が限られている。本研究は,後期高齢者に対する歯科健診結果およびレセプト情報をもとに,歯数と医療費との関連について検討した。

方法 平成26年度に三重県後期高齢者医療広域連合が実施した歯科健診の結果およびレセプト情報を用いた。歯科健診の対象者は75歳および80歳の被保険者で,歯科健診を受診した4,984人のうち分析に用いるデータに欠損がなく,レセプト情報との突合が出来た4,799人(男性2,184人,女性2,615人)を分析対象とした。第3大臼歯を除く健全歯,未処置歯,処置歯の合計を現在歯数とした。医療費については,レセプト情報をもとに,対象者ごとの1年間の医科診療医療費,歯科診療医療費およびそれらを合わせた医科・歯科診療医療費を算出した。現在歯数を28歯,20-27歯,10-19歯,0-9歯の4群に分け,各医療費を25パーセンタイル値と75パーセンタイル値により3群(低位,中位,高位)に分け,相互の関連について分析を行った。各医療費を3群に分けたものを従属変数,現在歯数およびその他の変数を独立変数とした多変量多項ロジスティック回帰分析を行った。

結果 現在歯数20-27歯および10-19歯群は,28歯群と比較して,年齢,性別,喫煙およびBMIで調整したうえで,医科診療医療費および医科・歯科診療医療費が低位に対する高位である調整済みオッズ比が有意に高かった。現在歯数0-9歯群は,28歯群と比較して医科・歯科診療医療費が低位に対する中位および高位のオッズ比が有意に高かった。歯科診療医療費については,28歯群と比較して,10-19歯および20-27歯群の歯科診療医療費が低位に対して中位または高位である調整済みオッズ比が有意に高い一方で,0-9歯群の医療費が低位に対する中位である調整済みオッズ比は有意に低かった。

結論 歯を喪失している後期高齢者は,歯科医療費だけではなく医科の医療費も高いことから,高齢期まで多くの歯を維持することは,医療費の抑制に貢献できる可能性が示唆された。

キーワード 後期高齢者,歯数,医療費,レセプト情報