論文
第65巻第13号 2018年11月 X線CT検査に従事する診療放射線技師の
岡野 員人(オカノ カズト) |
目的 X線CT(CT)検査に従事する診療放射線技師の需要状況について医療施設(静態・動態)調査・病院報告を基に調査し,将来の需要予測について検討した。
方法 2008年,2011年,2014年の医療施設(静態・動態)調査より医療施設数,外来患者延数,新入院患者数,CT装置の設置台数(CT装置数),CT検査を実施した患者数(CT検査数),診療放射線技師数をまとめ,総患者延数(外来患者延数と新入院患者数の合計)に対するCT検査数の割合(CT検査実施割合),CT装置1台に対する検査数(CT装置稼働実績数),CT装置1台に対して診療放射線技師が1名必要であると仮定したときの全診療放射線技師に対するCT検査に従事する診療放射線技師の割合(CT従事技師割合)を算出した。CT検査に従事する診療放射線技師の将来需要は,CT検査数の予測値とCT装置稼働実績数より算出した必要なCT装置数と将来のCT従事技師割合より算出した。
結果 全国の病院数や外来患者延数が減少している一方で,全国に設置されているCT装置数やCT検査数は増加しており,診療放射線技師数も増加傾向にあった。CT検査に従事する診療放射線技師の需要予測は,現在のCT検査実施割合の増加が続いた場合は2040年に21,091人に達し,CT従事技師割合は27.1%から29.7%と現状より高くなる予測となった。一方,CT検査実施割合を一定とした場合では,CT検査数の大幅な増加はみられず,CT従事技師割合は年々減少し,2040年では19.6%と大きく減少する予測となった。
結論 現在のCT検査数の増加が継続されれば,診療放射線技師不足が続く恐れがある。しかし,CT装置の有効活用などの対策を施すことで診療放射線技師不足の解消に期待ができる。また,将来の診療放射線技師の需要は,医療需要の変化よりもCT装置の発展や診療放射線技師を取り巻く環境により変化する可能性がある。
キーワード X線CT,診療放射線技師,医療施設調査,需要予測,医療需要