論文
第66巻第3号 2019年3月 平成27年都道府県別生命表における平均寿命の地域差分析首藤 陽平(シュトウ ヨウヘイ) 嶋村 拓生(シマムラ タクオ) 六車 史(ムグルマ フミト) |
目的 平成27年において,各都道府県の平均寿命の全国の平均寿命に対する差(地域差)を,年齢別・死因別の寄与へと分解することによって,地域差の要因を明らかにする。また,平成22年と平成27年の年齢別・死因別の寄与を比較することによって,その経年変化を明らかにする。
方法 各都道府県の平均寿命と全国の平均寿命の差(地域差)に対する年齢別の寄与は,全国の死亡率を低い年齢から順次,各都道府県の死亡率に置き換えたときの平均寿命の変化量として算出した。また,死因別の寄与は各年齢に対し,死亡率を死因別に分解することで同様に死因別寄与を求め,全年齢の総和として算出した。
結果 男で平均寿命が1位の滋賀県の地域差は,年齢階級別には50歳以上が大きくプラスに寄与している。また,死因別には不慮の事故を除くすべての死因がプラスに寄与している。また平成22年に1位で,平成27年に2位の長野県の地域差は,死因別には悪性新生物が大きくプラスに寄与しているが,脳血管疾患や自殺がマイナスに寄与している。女で平成22年から平成27年における平均寿命の延びが最も大きかった鳥取県の地域差は,マイナスからプラスに転じ,年齢階級別には0歳などの若年層の寄与が改善している。また,死因別には,悪性新生物や肺炎,自殺の寄与が改善している。また平成22年と平成27年で地域差を比較すると,地域差は減少しているが,全体的な傾向は変わっていない。
結論 各都道府県の平均寿命の全国の平均寿命に対する差(地域差)を年齢別,死因別に分析するとそれぞれの特徴は都道府県により異なる。また,地域差の年齢別・死因別寄与の経年変化を観察することで,地域差の変化や平均寿命の都道府県別順位の変化の要因を詳細に分析できる。
キーワード 都道府県別生命表,平均寿命,地域差,年齢,死因,寄与