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論文記事:日本における鍼灸治療利用者の特徴 201907-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第7号 2019年7月

日本における鍼灸治療利用者の特徴

-全国横断調査データを利用した多変量解析-
石崎 直人(イシザキ ナオト) 鍋田 智之(ナベタ トモユキ) 安野 富美子(ヤスノ フミコ)
藤井 亮輔(フジイ リョウスケ) 矢野 忠(ヤノ タダシ) 

目的 鍼灸治療を含む補完代替医療の利用者の特徴は世界各国から報告されているが,日本の鍼灸治療利用者に特化した情報は限られている。今回,2012年に著者らが実施した全国規模の横断調査の結果を利用した二次的な解析を通して,鍼灸治療利用者の特徴を探索的に検討した。

方法 2012年3月の時点における全国20歳以上の男女個人からのランダムサンプル2,000名を対象として実施した鍼灸治療の利用状況に関する調査で取得したデータを利用して,鍼灸治療経験の有無を目的変数とし,年齢,性別,学歴,都市規模を説明変数としたロジスティック回帰分析を行った。

結果 調査対象者2,000名中1,331名(66.6%)から回答を得た。1,331名中,過去に1度でも鍼灸治療を経験したことがあると回答した者は336名(25.2%)であった。鍼灸治療経験者と未経験者の年齢(中央値)は,それぞれ55歳と48歳であり,鍼灸治療経験者の年齢が有意に高かった。学歴および都市規模においては,鍼灸治療経験の有無による差は明らかではなかった。鍼灸治療経験の有無を目的変数とし,回答者の基本属性を説明変数としたロジスティック回帰分析の結果において有意となった因子(OR[95%CI])は,年齢(40-59歳:1.903[1.368-2.648],60歳以上:2.405[1.693-3.416])であった。性別(女性:1.073[0.834-1.380]),最終学歴(高校卒:1.229[0.791-1.909],大学卒:1.559[0.973-2.500]),都市規模(その他の市:1.086[0.812-1.451],町村0.617[0.368-1.037])などの要因はいずれも有意には至らなかった。

結論 日本における鍼灸治療利用には高齢であることが一要因であることが示唆されたが,健康状態,収入等他の要因を含めた調査が今後必要であると考えられた。

キーワード 鍼灸,全国調査,利用者,多変量解析,年齢,学歴

 

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