論文
第66巻第11号 2019年9月 手助けや見守りを要する者がいる世帯における
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目的 手助けや見守りを要する者がいる世帯における主介護者と他の世帯員について,健康とストレスの状況を平成22年国民生活基礎調査の匿名データに基づいて解析した。
方法 統計法36条に基づく匿名データを利用した。20歳以上の世帯員から,40歳未満の手助けや見守りを要する者とその世帯員などを除く,72,024人を解析対象者とした。男女ごとに,手助けや見守りを要する者がいない世帯の世帯員を基準として,手助けや見守りを要する者がいる世帯の主介護者と他の世帯員について,通院,健康意識,悩みやストレス,こころの状態のオッズ比をそれぞれロジスティック回帰で年齢を調整して推定した。
結果 手助けや見守りを要する者がいない世帯の世帯員を基準とする年齢調整オッズ比をみると,主介護者において,「悩みやストレスあり」は男性で2.14と女性で2.49,「健康意識がよくない」は男性で1.36と女性で1.31,「こころの状態がよくない」は男性で1.86と女性で1.65であり,いずれも有意(p<0.05)に大きかった。他の世帯員において,「悩みやストレスあり」は男性で1.11と大きい傾向(p<0.1),女性で1.26と有意に大きく,「こころの状態がよくない」は女性で1.30と有意に大きかった。
結論 手助けや見守りを要する者がいる世帯において,主介護者には健康とストレスによくない状況があることが確認された。他の世帯員には,主介護者と同様に悩みやストレスが生じていること,女性では精神的問題の生ずる可能性が大きいことおよび主介護者と異なり健康意識の低下が生ずる可能性が大きくないことが示唆された。
キーワード 国民生活基礎調査,匿名データ,介護,ストレス,家族