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論文記事:非喫煙者における家庭での受動喫煙と高血圧の関連 202008-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第67巻第8号 2020年8月

非喫煙者における家庭での受動喫煙と高血圧の関連

-東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査より-
平田 匠(ヒラタ タクミ) 小暮 真奈(コグレ マナ) 成田 暁(ナリタ アキラ)
土屋 菜歩(ツチヤ ナホ) 中村 智洋(ナカムラ トモヒロ) 目時 弘仁(メトキ ヒロヒト)
中谷 直樹(ナカヤ ナオキ) 丹野 高三(タンノ コウゾウ) 菅原 準一(スガワラ ジュンイチ)
栗山 進一(クリヤマ シンイチ) 辻 一郎(ツジ イチロウ)
呉 繁夫(クレ シゲオ) 寳澤 篤(ホウザワ アツシ)  

目的 近年,受動喫煙が高血圧と関連することを示す疫学研究が散見されるが,関連を示さない報告もあり,一定の結論は得られていない。また,受動喫煙に関して10年前と最近1年間の受動喫煙状況を反映した検討も行われていない。そこで,本研究では非喫煙者を対象とした家庭での10年前および最近1年間における受動喫煙の組み合わせと高血圧有病との関連につき,国内の大規模コホートデータを用いた検討を行った。

方法 本研究は東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査のベースライン調査データ(2013年5月~2016年3月に実施)を用いた断面研究である。宮城県在住で同調査のベースライン調査を特定健診共同参加型で受けた非喫煙者を解析対象とし,全解析対象者を10年前と最近1年間の家庭における受動喫煙の有無の組み合わせにより4群に分類した。家庭における10年前・最近1年間の受動喫煙の組み合わせと高血圧有病との関連を多変量ロジスティック回帰分析により検討し,10年前・最近1年間ともに受動喫煙のない者を参照群とした他群の高血圧有病に対するオッズ比と95%信頼区間を算出した。

結果 本研究の解析対象者は15,381名(男性2,370名,女性13,011名)であり,高血圧の有病者は5,603名(36.4%)であった。最近1年間に家庭での受動喫煙を認めた者は1,961名(12.7%)であり,そのうち1,775名(90.5%)が10年前にも家庭での受動喫煙を認めた。多変量解析の結果,10年前・最近1年間ともに家庭での受動喫煙を認める者では,10年前・最近1年間ともに家庭での受動喫煙を認めない者と比較して,年齢・BMI・飲酒歴などの高血圧の危険因子と独立し,高血圧の有病と有意な正の関連を認めた(オッズ比1.15,95%信頼区間1.02-1.29)。男女別の解析では,10年前・最近1年間ともに家庭での受動喫煙を認める女性が10年前・最近1年間ともに家庭での受動喫煙を認めない女性と比較し,高血圧の有病と有意な正の関連を認めた(オッズ比1.15,95%信頼区間1.02-1.30)。

結論 非喫煙者において家庭での長期間の受動喫煙があると年齢・BMIや飲酒歴などの古典的な高血圧の危険因子と独立して高血圧の有病リスクが有意に上昇した。公衆衛生上の観点からは家庭での受動喫煙の防止が肺がん・慢性閉塞性肺疾患や虚血性心疾患等の予防だけでなく血圧値の低下にも寄与する可能性が示唆された。

キーワード 受動喫煙,高血圧,疫学研究,非喫煙者,家庭

 

 

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