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論文記事:社会的養護における専門職の人材育成に関する実態と課題 202008-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第67巻第8号 2020年8月

社会的養護における専門職の人材育成に関する実態と課題

-職場研修のニーズを中心に-
小林 理(コバヤシ オサム) 中原 慎二(ナカハラ シンジ) 新保 幸男(シンボ ユキオ)

目的 本研究は,社会的養護分野における常勤専門職の「働く環境」などの自己評価を通じて,職場環境の実態を把握し,人材育成の課題を考察することを目的とした。

方法 調査対象は,全国の乳児院・児童養護施設・母子生活支援施設の保育士・児童指導員などの常勤専門職の全員として,郵送法による無記名自記式調査を行った。調査項目は,「自らの専門性」「仕事への思い」「働く環境」など50項目を設定し,それぞれ1~10の数字(得点が高い方が高評価)で自己評価の回答を得た。調査期間は,2018年2月から3月であった。

結果 2018年3月末時点で回収された調査票のうち,期限を過ぎて返送された調査票を含み,すべての調査項目が有効回答であった調査票5,000通を対象として分析を行った。調査項目の50項目の平均得点は6.18点,標準偏差は2.32点であった。10点満点で8点以上と高い得点の項目は,「児童を理解しようとしている」(8.47点),「自らの専門性をより高めようと思っている」(8.35点)であった。一方,低い得点の項目は,「職場外でスーパービジョンを受ける機会が十分ある」(4.70点),「地域資源の活用に関して,自らの専門職としての能力は高い」(4.78点),「制度理解に関して,自らの専門職としての能力は高い」(4.81点),「自分の年収に満足している」(4.86点)であった。職場環境についての項目の合計点は,経験年数が低い群で低く,年数とともに得点が上がっていた。結果を年齢,経験年数の平均値を参考に,グループ化して分布をみた。「35歳以上45歳未満で経験5年未満」「45歳以上で経験5年未満」の者に,職場内外の研修や勉強会の機会が十分でない。職場内のスーパービジョン(SV)は,調査項目全体に相関があり,特に職場への誇り,専門性を高めやすいか,に相関があった。職場内SVは,年齢が低く経験が浅い群で課題がある。

結論 職場環境は,本来,新人にとって手厚くあるべきだが,本研究の結果から,年齢や経験年数が低い群に充実と捉えられていない傾向がみられた。これは,年齢が若く経験年数の少ない「新人組」の「仕事の継続」に壁となっていると考えられる。職場内外のSVの機会は,年齢は低いが経験年数が少なくない「若手組」と,年齢は低くないが経験年数が少ない「転職組」に十分ではない。特に,「転職組」は,内外の研修会や勉強会の課題を今後さらに調査していく必要が示唆された。

キーワード 社会的養護,常勤専門職,職場環境の実態,人材育成の課題,スーパービジョン(SV)の機会

 

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