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論文記事:定年退職後の心のあり様尺度(PSAR)の開発 202011-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第67巻第13号 2020年11月

定年退職後の心のあり様尺度(PSAR)の開発

谷口 千絵(タニグチ チエ) 小野 美月(オノ ミヅキ)
北 素子(キタ モトコ) 久田 満(ヒサタ ミツル)

目的 本研究の目的は,定年退職後の心のあり様尺度(以下,PSAR)を開発し,信頼性の検討および関連する要因を明らかにすることである。

方法 2017年12月時点でWeb調査会社に登録している人で,日本国内の企業に勤続し,定年退職を経験した60-74歳の男性308人を対象とした。PSARの暫定46項目について探索的因子分析を行った。抽出された各因子と退職後の人生設計,退職前から続けている趣味,現在のコミュニティへの関与度,現在の経済状況,現在の主観的身体的健康状態,基本属性について,対応のないt検定,一元配置分散分析を行い,有意な場合は多重比較を行った。さらに,各因子を従属変数とする重回帰分析を行った。

結果 3因子23項目が抽出された。第1因子10項目は〔定年後充実感〕,第2因子7項目は〔人生終わった感〕,第3因子6項目は〔現役への未練〕とした。Cronbachのα係数は,それぞれ0.84,0.83,0.73であった。〔定年後充実感〕は,趣味があり,同居人がいて,既婚者で,大学/大学院を卒業した群が高い得点であった。現在の経済状況を「苦しい」,健康状態を「不健康」,コミュニティへ「関わりはない」と回答した群の得点が低かった。〔人生終わった感〕は,定年退職前から続けている趣味がない群の得点が高かった。現在の経済状況が「苦しい」,健康状態を「不健康」,退職後の人生設計を,「考えていなかった/漠然と考えていた」と回答した群は高い得点であった。〔現役への未練〕は,現在パート・アルバイトに就いている群が高い得点で,コミュニティへ「関わりがない」,健康状態を「不健康」と回答した群の得点が低かった。重回帰分析の結果,〔定年後充実感〕は,定年退職前に考えていた人生設計があり,趣味があり,現在の経済状況に余裕があり,健康であると認識しているほど高かった。〔人生終わった感〕は,退職後の年数が浅く,定年退職前に考えていた人生設計がなく,現在の経済状況に余裕がないほど高かった。〔現役への未練〕は,現在のコミュニティへの関与度が高く,パート・アルバイトに就いており,経済状況に余裕がなく,退職後の年数が浅いほど高かった。

結論 定年退職後の男性を対象とし,定年退職後の人生や生活を営む過程における心の状態を客観的に把握するための心理尺度として〔定年後充実感〕〔人生終わった感〕〔現役への未練〕の3因子23項目が明らかになった。

キーワード 定年退職,心のあり様,男性,尺度の開発,退職移行期,人生設計

価値観の変革と共有化が望まれる。

キーワード 人的資源,高齢者雇用,腰痛一次予防,リフト,人口減少社会

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