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論文記事:有料老人ホームにおける虐待予防策への取り組みの実態と課題 202101-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第68巻第1号 2021年1月

有料老人ホームにおける虐待予防策への取り組みの実態と課題

-「介護付き」「住宅型」有料老人ホームと「特別養護老人ホーム」との比較をもとに-
松本 望(マツモト ノゾミ)

目的 本研究は,有料老人ホームのタイプ別に,虐待予防に向けた取り組みの実態と課題を明らかにすることを目的とした。

方法 調査は質問紙を用いて行い,A県にあるすべての有料老人ホーム,「特別養護老人ホーム」に書面にて調査への協力を依頼し,同意が得られた施設に勤務する全介護職員を調査対象として実施した。質問紙では,虐待予防策,基本属性について調査した。

結果 1,412名分の質問紙を回収し(回収率43.8%),そのうち「健康型」の有料老人ホームの3名分の回答と,欠損値のあった回答を除外した1,309名分を有効回答とした(有効回答率40.6%)。まず「虐待予防策」について探索的因子分析を行った結果,「職員の特性」「職場の人間関係」「上司の特性」「負担感のなさ」「職場の虐待への対策」の5因子が抽出された。次に,施設種別ごとに虐待予防策への取り組み状況を比較したところ,「職員の特性」「職場の人間関係」「職場の虐待への対策」の三つの因子に有意な差がみられた。まず「職員の特性」では,「住宅型」と「特別養護老人ホーム」(p<0.01),「介護付き」と「特別養護老人ホーム」(p<0.01)で有意な差がみられ,「住宅型」「介護付き」「特別養護老人ホーム」の順に得点が高かった。「職場の人間関係」では,「特別養護老人ホーム」と「介護付き」(p<0.05),「特別養護老人ホーム」と「住宅型」(p<0.05)で有意な差がみられ,「特別養護老人ホーム」「介護付き」「住宅型」の順に得点が高かった。最後に「職場の虐待への対策」では,「特別養護老人ホーム」と「住宅型」(p<0.01)で有意な差がみられ,「特別養護老人ホーム」「介護付き」「住宅型」の順で得点が高い傾向がみられた。

結論 「介護付き」「住宅型」の有料老人ホームにおいても実際に虐待が発生していることから,より質の高いケアを目指す必要がある。具体的な取り組みとしては,研修等により職員の知識や意識を維持・向上させるような取り組みや,職員同士が連携・協働できる体制づくり,施設全体で虐待の未然防止や相談・対応の体制整備に取り組むこと,そして経営層も含め施設全体の虐待に対する認識を高めていくことなどが求められる。

キーワード 介護付き有料老人ホーム,住宅型有料老人ホーム,特別養護老人ホーム,虐待予防策

 

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