論文
第68巻第1号 2021年1月 医療施設の曜日別診療状況と
三重野 牧子(ミエノ マキコ) 橋本 修二(ハシモト シュ二ウジ) 川戸 美由紀(カワド ミユキ) |
目的 患者調査の総患者数の推計方法は1990年頃の診療状況に基づくことから,見直しの必要性が指摘されている。最近の医療施設の曜日別診療状況を観察するとともに,推計方法の調整係数(平日の調査による再来外来患者数を1週間の平均再来外来患者数に調整する係数)について,1週間のうちで日曜が休診の想定による現行値(6/7),土曜の午後と日曜が休診の想定による代替値(5.5/7)の適切性を検討した。
方法 2005~2017年の患者調査と医療施設調査を利用した。患者調査による平日1日の再来外来患者数に対する,医療施設調査による1カ月間の平均再来外来患者数の比(調整係数の相当値と呼ぶ)を算定した。
結果 2017年の診療施設割合をみると,病院では午前・午後・18~19時ともに月~金曜でほぼ一定であり,土曜でそれより低かった。一般診療所と歯科診療所では午前・午後・18~19時ともに月・火・水・金曜でほぼ一定,木曜と土曜でそれより低かった。2005年と2017年の診療施設割合の差をみると,病院・一般診療所・歯科診療所,月~日曜と祝日の午前・午後・18~19時ともに-4~5%の範囲内であった。2005~2017年の調整係数の相当値は病院で平均6.2/7(範囲6.1/7~6.3/7),一般診療所で同5.8/7(5.7/7~6.0/7),歯科診療所で同4.7/7(4.4/7~5.0/7)であった。
結論 2005~2017年の曜日別診療施設割合は病院,一般診療所,歯科診療所の間に相違がみられたが,年次間ではほぼ一定傾向であった。調整係数としては,代替値への変更が支持されず,また,歯科疾患の推計に課題があるものの,現行値が比較的適切であると示唆された。
キーワード 医療施設調査,患者調査,総患者数,調整係数,保健統計