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論文記事:地域在住高齢者に対する包括的食料品アクセス評価尺度の開発と妥当性の検証 202103-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第68巻第3号 2021年3月

地域在住高齢者に対する
包括的食料品アクセス評価尺度の開発と妥当性の検証

飯坂 真司(イイザカ シンジ) 小板橋 恵美子(コイタバシ エミコ) 河村 秋(カワムラ アキ)
根岸 貴子(ネギシ タカコ) 飯塚 讓(イイヅカ ユズル)
佐々木 莉奈(ササキ マリナ) 谷保 茉耶(タニホ マヤ)

目的 近年,日常の買い物が困難になる食料品アクセス低下が地域在住高齢者の社会問題となっている。この問題には,個人の身体要因,地理的環境,社会的要因が複合的に関与する。本研究の目的は,地域在住高齢者の食料品アクセスの状況を包括的に測定するための自記式尺度の開発と構成概念妥当性・基準関連妥当性の検証とした。

方法 文献レビューをもとに32項目4件法の尺度原案を作成した。首都圏の2政令市3地区の地域活動に参加する60歳以上の主に自立から要支援段階の住民を対象に,自記式質問紙による横断調査を実施した。探索的(最尤法,プロマックス回転)および確認的因子分析を用いて尺度の構成概念妥当性を検証した。また,基本属性,食・栄養関連指標,食料品店からの距離指標に対する基準関連妥当性を検証した。

結果 303名(平均年齢74.3歳,女性217名)を分析した。探索的因子分析の結果,固有値1以上の解釈可能な5因子構造とし,因子負荷量0.35以上の23項目を抽出した。5つの下位因子は「買い物自立度」6項目,「買い物しやすい環境」5項目,「食料品入手の社会的動機」6項目,「食生活面のサポート」3項目,「食生活の経済的余裕」3項目となった。内的整合性を示すCronbachのα係数は,第5因子0.57であったが,第1~4因子0.68~0.82であった。確認的因子分析による適合度は十分であった(GFI=0.902,AGFI=0.879,CFI=0.912,RMSEA=0.049)。基準関連妥当性では,「買い物自立度」は75歳以上,介護保険認定あり,運動器リスクのある者で低く,「食料品入手の社会的動機」は75歳未満,男性で低く,「食生活面のサポート」は独居世帯,介護保険認定ありの者で低く,「食生活の経済的余裕」は視覚障害ありの者で低かった(いずれもP<0.05)。また,「買い物しやすい環境」は,食料品店から500m圏にある居住地域の面積割合と有意な正の相関を示した(ρ=0.20,P=0.001)。

結論 地域在住高齢者に対して,「買い物自立度」「買い物しやすい環境」「食料品入手の社会的動機」「食生活面のサポート」「食生活の経済的余裕」の5因子23項目から構成される包括的食料品アクセス評価尺度を開発した。本尺度により,5つの視点から高齢者本人の食料品アクセスの状況を捉えることができ,個々人の適切な支援につながる。

キーワード 尺度開発,食料品アクセス,買い物,低栄養,介護予防,地域在住高齢者

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