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論文記事:0歳児が受けた予防接種と保護者の子どもに関する困りごと・相談の状況 202108-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第8号 2021年8月

0歳児が受けた予防接種と
保護者の子どもに関する困りごと・相談の状況

-予防接種の接種群と未接種群の検討-
佐藤 玲子(サトウ レイコ) 関 美雪(セキ ミユキ) 服部 真理子(ハットリ マリコ)
石﨑 順子(イシザキ ジュンコ) 柴田 亜希(シバタ アキ)

目的 現在,わが国では感染症の重症化の回避,社会的な感染症防衛力を向上するために予防接種を推進している。予防接種を受けることは,小児期に限らず,生涯の課題でもあり,重要性が増している。本研究は,埼玉県内8市町の0歳児の予防接種の状況から,予防接種の推進のため対応を検討した。

方法 埼玉県で実施された「子どもの生活に関する調査(平成30年8月1日)」で得られた項目のうち,0歳児が受けた予防接種の種類,保護者の子どもに関する困りごと・相談の状況のカテゴリーを2群に分けχ2検定およびFisherの直接確率検定を行い,予防接種の接種群と未接種群に関連する内容を明らかにした。

結果 0歳児が受けた予防接種は,B型肝炎1,385人(92.6%),Hib感染症1,378人(92.2%),小児肺炎球菌感染症1,372人(91.8%),結核1,356人(90.7%)など約9割以上であり,日本脳炎は209人(13.9%)で少なかった。さらに予防接種の接種群と未接種群間で検討した結果,0歳児の保護者にとって「子どもの健康や発育に関する相談先の有無」(p=0.01)(Fisher),「離乳食で困っていることの有無」(p=0.02),保護者が「受診の必要性を感じていながら医療機関に連れて行かなかった経験の有無」(p=0.00),これら3項目が接種群と未接種群の2群に有意に関連した。

結論 埼玉県の8市町の予防接種の状況は,予防接種を受けた0歳児・保護者は約9割あった。一方,成長発達の著しい0歳児の育児であるため,保護者の困っている内容に対して,ニーズに即応しつつ対応方法を見いだせるよう相談機関や保健センターなどに結びつけることが重要である。また,居住地にかかりつけ小児科医師を得て,0歳児の体調に応じた健康管理を行い,予防接種を受けることがより重要になる。さらにワクチン接種について,接種スケジュールが滞る場合は,接種したワクチンの種類と回数の確認,接種に対して保護者の意向の確認を行うこと,予防接種の推進に向けて市町村予防接種担当部署や保健師につなぎ,個別的に解決する方向性を持ちながら保護者に対応することが必要だと考えられた。

キーワード 0歳児,保護者,予防接種の推進,保護者の困りごと・相談,母子保健,保健師

 

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