論文
第68巻第8号 2021年8月 大学病院本院群の類型分類と
中島 尚登(ナカジマ ヒサト) 矢野 耕也(ヤノ コウヤ) |
目的 大学病院本院群82施設の,診療件数とMajor Diagnostic Category(MDC)の疾患比率を用い,82施設の特徴と,機能評価係数Ⅱに影響する要因を検討した。
方法 調査項目をクラスター分析し,82大学病院をA~C群に分け,次にMDC比率をクラスター分析し,Ⅰ~Ⅵ群に分けた。そして,調査項目またはMDC比率の,主成分1・2の主成分負荷量と得点を用い,それぞれの群の特徴および機能評価係数Ⅱに影響する主成分を検討した。
結果 A群は,西日本の国公立の施設が多く,「放射線・化学療法-紹介」度と「産婦-筋骨格-新生児」度が高かった。B群は,東日本の国公立の施設が多く,「手術・全身麻酔-病床数-救急医療」度と「神経-新生児-乳房-循環器」度が低かった。C群は関東と近畿の私立の施設が多く,「手術・全麻-病床数-救急医療」度が高く,「放射線・化学療法-紹介」度と「産婦-筋骨格-新生児」度が低かった。機能評価係数Ⅱは,A群とC群は同等であるが,B群は低かった。Ⅰ群は国公立の施設が多く,「産婦-筋骨格-新生児」度が高かった。Ⅲ群は私立の施設であり,「放射線・化学療法-紹介」度と「産婦-筋骨格-新生児」度および「神経-新生児-乳房-循環器」度が低かった。Ⅴ群は「放射線・化学療法-紹介」度と「産婦-筋骨格-新生児」度が高く,「神経-新生児-乳房-循環器」度が低かった。Ⅵ群は「放射線・化学療法-紹介」度が低かった。そして,相関分析より「手術・全麻-病床数-救急医療」度と「神経-新生児-乳房-循環器」度が高い施設ほど,機能評価係数Ⅱが高かった。
結論 西日本・国公立の施設が多いA群は「放射線・化学療法-紹介」度が,関東・近畿の施設が多いC群は「手術・全麻-病床数-救急医療」度が高かった。そして「手術・全麻-病床数-救急医療」度と「神経-新生児-乳房-循環器」度が高いほど機能評価係数Ⅱが高い。
キーワード 大学病院本院群,機能評価係数Ⅱ,Diagnosis Procedure Combination(DPC)制度,クラスター分析,主成分分析