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論文記事:世帯の社会的脆弱性尺度の開発および信頼性・妥当性の検討 202110-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第68巻第12号 2021年10月

世帯の社会的脆弱性尺度の開発
および信頼性・妥当性の検討

福定 正城(フクサダ マサキ) 斉藤 雅茂(サイトウ マサシゲ)

目的 本研究は,世帯境界の概念を提示し,その境界を通したさまざまな刺激の出入りや,対人関係における距離感にかかわる評価尺度である世帯の社会的脆弱性尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討することを目的とした。

方法 先行研究から抽出した30項目で尺度原案(5件法)を作成し,表面妥当性の検討後,予備調査を行った。予備調査後に4件法への修正を行い,本調査では愛知県内すべての地域包括支援センターに質問紙を配布し,112カ所347名(有効回答307名)から回答を得た。調査期間は2020年6月〜8月であった。評価対象世帯は,①2名以上の世帯員がいる,②65歳以上の高齢者が1名以上含まれる,③生活に困難が生じているにもかかわらず自ら支援を望まない,これらすべてを満たす世帯と定義した。探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)で因子的妥当性を確認した後に,内的一貫性をクロンバックα係数で検討した。そして,社会的孤立,セルフ・ネグレクト,支援困難感にかかわる指標を外部基準とし,基準関連妥当性を検討した。また,世帯構成の違いによる尺度得点の相違について,一元配置分散分析後にScheffe法を用いた多重比較によって確認した。さらに,内容的妥当性を専門家へのヒアリングを行い検討した。

結果 探索的因子分析の結果,スクリー基準と因子の解釈可能性により3因子構造を採択し,第1因子「セルフ・ネグレクト」,第2因子「社会的不適応」,第3因子「社会的孤立」と解釈した。全項目が0.35以上の因子負荷量をもち,因子的妥当性は確保されていた。クロンバックα係数は,尺度全体が0.84,第1~3因子が0.73,0.70,0.78であり,尺度の信頼性が示された。外部基準と尺度得点との間に有意な相関が認められた。多重比較の結果,高齢者と未婚の子世帯は,高齢者夫婦世帯よりも尺度得点が有意に高い傾向が確認された。専門家4名全員から,主観的評価と尺度得点との間に矛盾は認められず,本尺度の項目は世帯の社会的脆弱性を測定するうえで必要な内容をカバーしているとの意見を得られた。

結論 本研究によって開発された世帯の社会的脆弱性尺度は,信頼性と妥当性を有する尺度であることが示された。本尺度は,対象世帯を支援する者にとって,有益な介入効果測定の指標となると考えられる。

キーワード 世帯の社会的脆弱性尺度,世帯境界,家族システム,社会的孤立,セルフ・ネグレクト,因子分析

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