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論文記事:日本の成人女性における院内助産システムに対するケアニーズ 202110-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第12号 2021年10月

日本の成人女性における院内助産システムに対するケアニーズ

黒﨑 直央(クロサキ スナオ) 宮﨑 文子(ミヤザキ フミコ) 朝澤 恭子(アサザワ キョウコ)

目的 日本では助産師外来・院内助産の普及が推進されているが,その普及率は停滞している。本研究の目的は,院内助産システム推進の示唆を得ることを目指し,成人女性における院内助産システムに対するケアニーズを明らかにすることである。さらに助産所出産経験者(以下,助産所群)と,病院出産経験者および出産未経験者(以下,助産所以外群)におけるケアニーズの相違および院内助産システム認知の有無によるケアニーズの相違を明らかにした。

方法 関東地方の18~39歳の女性697名に対して,無記名自記式質問紙を用いて量的横断的研究を行った。調査内容は,院内助産システムに対するケアニーズおよび利用ニーズであった。分析は記述統計量算出およびχ2検定を実施した。

結果 有効回答は340部(有効回答率48.8%)であり,助産所群62部と,助産所以外群278部のデータを用いて分析した。助産師外来を知っている人は37.1%,院内助産を知っている人は13.2%であった。院内助産システムのケアニーズは,「助産師が誠実」86.8%,「助産師と医師のチームワークがよい」86.5%,「秘密やプライバシーの保持」86.5%,「助産師がよく話を聞いてくれる」84.4%の順に多かった。院内助産システムの利用交通ニーズは徒歩では10分以内と回答する人が55.0%で最も多く,院内助産の分娩費用ニーズは出産育児一時金と同額が54.7%と最も多かった。

結論 院内助産システムに対するケアニーズは,誠実,医師とのチームワーク,プライバシー保持,傾聴といった顧客コミュニケーションが上位を占めていた。助産所群は自然分娩,フリースタイル分娩,分娩部屋選択,産褥マッサージ,家族立ち会い出産という具体的なケアニーズが多く,助産所以外群は送迎バスの利用やスタッフの独自の白衣といったケア以外の利用ニーズが多かった。

キーワード 助産師,院内助産システム,ケアニーズ,助産師外来,横断調査

 

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