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論文記事:国民生活基礎調査データを用いた学歴と有配偶率との関連の分析 202111-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第13号 2021年11月

国民生活基礎調査データを用いた学歴と有配偶率との関連の分析

-2010-2019年-
奥井 佑(オクイ タスク)

目的 本研究では国民生活基礎調査のデータをもとに配偶状況と学歴との関連についての近年の動向を分析した。

方法 2010年から2019年までの国民生活基礎調査のデータを用いた。対象年齢について,20-24歳から75-79歳までの5歳刻みの年齢階級のデータを用いた。配偶者の有無は,調査時に配偶者を有しているか否かをもとに有配偶者と無配偶者に分類されている。学歴について,小学・中学・高校・旧制中,専門学校・短大・高専,大学・大学院卒の3区分に分け分析を行った。各学歴における有配偶率を年齢階級,性,調査年別に算出した。また,2010年の全対象者における年齢階級別人口を基準人口として,各調査年の年齢調整有配偶率を性および学歴別に算出した。加えて,学歴と所得との関連を確かめるため,役員以外の雇用者に対象を限定したうえで学歴と低所得者割合との関連について同様の分析を行った。

結果 学歴と配偶状況との関係は年齢階級により異なり,20代では男女とも小学・中学・高校・旧制中卒の有配偶率が最も高かったが,以降の年齢ではその他の学歴の方がより有配偶率が高い傾向がみられた。年齢調整有配偶率は,男性では調査年を問わず,大学・大学院卒,専門学校・短大・高専卒,小学・中学・高校・旧制中卒の順番に有配偶率が高くなり,調査年を経るごとに大学・大学院卒と小学・中学・高校・旧制中卒の差が拡大した。また,学歴を問わず年齢調整有配偶率は2010年から2019年にかけて減少した。女性では学歴による年齢調整有配偶率の差は調査年を問わず男性よりも小さかったが,2012年以降においては専門学校・短大・高専卒以上が小学・中学・高校・旧制中卒を上回る結果となっていた。また,雇用者に限定して,学歴と低所得者割合の関連を調べたところ,男女とも学歴が低いほど低所得者割合が高いことが示された。

結論 男性において有配偶率の減少が学歴を問わず顕著であるとともに,学歴による有配偶率の格差も拡大傾向であることが示された。女性では学歴による有配偶率の差は小さかったが,近年,学歴により有配偶率に差が生じ始めていることがわかった。

キーワード 国民生活基礎調査,有配偶率,学歴,公的統計,所得,低所得者割合

 

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