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論文記事:患者診療体験調査における質問表現の回答への影響に関する比較調査 202112-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第15号 2021年12月

患者診療体験調査における
質問表現の回答への影響に関する比較調査

佐藤 三依(サトウ ミヨリ) 渡邊 ともね(ワタナベ トモネ) 市瀬 雄一(イチノセ ユウイチ)
松木 明(マツキ メイ) 脇田 貴文(ワキタ タカフミ) 東 尚弘(ヒガシ タカヒロ)

目的 平成27年厚生労働省がん臨床研究事業としてがん患者と家族の診療体験に基づく評価のためにリッカート尺度の質問で第1回患者体験調査を行ったが,多くの質問で8割の患者が肯定的選択肢を選んだため政策等による変化を捉えられないと考えられた。近年評定尺度表現の変更による回答分布の操作も提案されたことを受け,第1回調査の肯定が2段階,中立が1段階,否定が2段階の選択肢を,第2回では3,1,1段階にしたが,回答が肯定側に誘導された可能性があった。そのため選択肢の変更前後で結果を比べ,第1,2回の調査の回答分布を比較する方法を提案し,さらに項目反応理論に基づき,評定尺度表現の適切性を評価することを目的とする。

方法 2020年3月2日~5日に調査した。1,635人が回答対象者,有効回答は728人(44.5%)であった。インターネット調査会社のパネル患者を2群(A,B)に分け,A群に5段階で中央が中立的選択肢を,B群に5段階で下位2つ目が中立と設定し,肯定の回答者の割合を比較し,比較補正係数を作成した。項目反応理論のパラメタ推定により選択肢間の心理的距離および測定精度を検証した。

結果 A群よりB群の方が天井効果は和らいだが,肯定的選択肢の患者の割合は増加した。潜在特性連続体上の各選択肢の尺度値の差異はみられなかったが,B群においてテスト情報量が増加した。

結論 第1,2回の患者体験調査の比較には,比較補正係数を用いることが必要と考えられた。選択肢変更後において天井効果が和らぎ,誤差が減少しテスト情報量が増加したことより,選択肢変更は選択肢内のばらつきを測定する,経時的な変化を捉えたい場合に有効であると示唆された。

キーワード リッカート法,評定尺度表現,項目反応理論,患者体験調査,比較補正係数

 

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