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論文記事:学校でのいじめ被害経験と成人後に相談相手がいないこととの関連 202201-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第1号 2022年1月

学校でのいじめ被害経験と
成人後に相談相手がいないこととの関連

平光 良充(ヒラミツ ヨシミチ)

目的 学校でのいじめ被害経験は,成人後の抑うつ,自殺念慮,自殺未遂のリスクを上昇させることが報告されている。自殺対策としては悩んだときに相談することが重要である。本研究の目的は,学校でのいじめ被害経験と成人後に相談相手がいないこととの関連を悩み別に把握することである。

方法 東京大学社会科学研究所が2007年に実施した若年・壮年パネル調査の回答データを使用して二次分析を行った。分析対象者数は20~40歳の男女4,003人である。相談相手の有無を目的変数,学校でのいじめ被害経験の有無を説明変数とした二項ロジスティック回帰分析により,「仕事・勉強の悩み」「求職の悩み」「人間関係の悩み」「金銭面の悩み」の各悩み別にオッズ比を算出した。調整変数は性別,年齢階級,婚姻状態,就業状態,教育歴,精神的健康状態とした。

結果 分析対象者のうち,学校でのいじめ被害経験がある者は907人(22.7%)であった。「人間関係の悩み」では,いじめ被害経験と成人後に相談相手がいないこととに有意な関連がみられた(調整オッズ比1.42(95%信頼区間:1.10-1.82))。その他の悩みでは有意な関連はみられなかった。

結論 学校でのいじめ被害経験がある者は,成人後に「人間関係の悩み」を抱えた際に相談できる人がいないリスクが高いことが示唆された。今後は,学校でのいじめ被害経験者が成人後に相談相手がおらずに孤立しないように,長期的視点での支援方法を検討する必要がある。

キーワード 学校でのいじめ被害経験,成人後,悩み,相談相手,オッズ比,長期的視点

 

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