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論文記事:後期早産と妊娠・出産の満足との関連 202201-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第1号 2022年1月

後期早産と妊娠・出産の満足との関連

-一般住民を対象とした横断研究-
上原 里程(ウエハラ リテイ) 秋山 有佳(アキヤマ ユウカ) 市川 香織(イチカワ カオリ)
尾島 俊之(オジマ トシユキ) 松浦 賢長(マツウラ ケンチョウ)
山崎 嘉久(ヤマザキ ヨシヒサ) 山縣 然太朗(ヤマガタ ゼンタロウ)

目的 後期早産(在胎週数34-36週)は,児の発達への影響とともに母親の産後の不安や抑うつとの関連が報告されている。3-4カ月児健康診査(以下,健診),1歳6カ月児健診,および3歳児健診を受診した保護者を対象として後期早産児を持つ母親の特性を明らかにすることを目的とした。

方法 健診時期の異なる集団を対象とした横断研究である。「健やか親子21」の最終評価を目的として2013年に「親と子の健康度調査アンケート」が実施された。調査対象は各都道府県の人口規模別に県庁所在地を1カ所含む各10市区町村(472カ所)で上記健診を受診した保護者である。回答者が母親かつ第1子に限定し,アンケートの共通項目について後期早産の母親と早期の早産(同22-33週)および正期産(同37-41週)を比較した。すべての健診時期で後期早産と有意な関連があった項目について,交絡要因を調整して後期早産が関連要因であるかどうかを確認した。

結果 後期早産児の母親は,3-4カ月児健診,1歳6カ月児健診,3歳児健診それぞれで4.2%(361/8,514),4.5%(513/11,398),4.6%(508/11,089)だった。すべての健診時期で,正期産,後期早産,および早期の早産の3群に有意な差が観察された項目は,出産時の母親の年齢と妊娠・出産の満足度だった。妊娠・出産の満足度を目的変数,在胎週数の3区分を説明変数,出産時の母親の年齢など交絡要因を共変量として多変量ロジスティック回帰分析を行うと,すべての健診時期において,後期早産は妊娠・出産の満足度と関連していた(満足していないことに対するオッズ比[95%信頼区間]:3-4カ月児健診2.21[1.50-3.26],1歳6カ月児健診2.55[1.90-3.41],3歳児健診3.79[2.92-4.93])。

結論 一般集団において,後期早産は妊娠・出産に満足していないことに関連していた。後期早産では正期産と比べて妊娠・出産に満足していない頻度が高いことから,後期早産を経験した母親に対して妊娠・出産時からの継続した支援が必要である。

キーワード 後期早産,妊娠,出産,満足,母親,健やか親子21

 

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